沼津市千本郷林女性殺人・死体遺棄事件|財布も携帯も置いて夜道へ出た43歳、実家からわずか100メートルの雑木林で何があったのか

2000年代

2008年2月16日、土曜日の夜。静岡県沼津市本の実家で、森田みずえさん(当時43歳)は家族ら4人と夕食をとりました。そして午後9時ごろ、財布も携帯電話も置いたまま、普段着で家を出ていきました。

森田さんが帰ってくることはありませんでした。9日後の2月25日、森田さんは実家から100メートルほど離れた民家の雑木林で見つかります。首を絞められていました。

ほんの100メートル。歩けば2分もかからない距離です。その間に何があったのかは、18年たった今も分かっていません。

事件概要

項目内容
行方不明2008年2月16日午後9時ごろ、実家を徒歩で出る
発見2008年2月25日午後2時ごろ
場所静岡県沼津市本字千本郷林の民家の雑木林
被害者森田みずえさん(当時43歳)
死因首を絞められたことによる窒息死
罪名殺人・死体遺棄
現在未解決

静岡県警は、この事件を県内14件の未解決重要事件の一つとして載せています。県警の一覧では発生日が「平成20年2月17日」になっていますが、これは森田さんが行方不明になった翌日の日付です。家族が警察に届け出たのが17日の午前3時ごろだったので、それに合わせているのかもしれません。

夕食のあと、ふらりと出ていった

当時の静岡新聞の報道によれば、森田さんはこの数日前に、一人で暮らしていたアパートから実家に戻ってきたばかりでした。その夜も、両親や娘さんたちと食卓を囲んでいます。

午後9時ごろ、森田さんの姿が見えなくなりました。財布も携帯電話も家に置いたまま、普段着のままだったといいます。夜が更けても戻らないため、家族は17日の午前3時ごろ、警察に行方不明の届けを出しました。

財布も携帯も持たずに出ていったのですから、遠くへ行くつもりではなかったはずです。家のすぐ近くまで、ほんの少しのつもりで出かけたのではないでしょうか。

実家の近くに落ちていた履物

警察と家族が周辺を捜すうちに、実家の近くで森田さんの履物が見つかりました。これをきっかけに捜索が続けられ、25日の午後2時ごろ、実家から100メートルほど離れた民家の雑木林の中で、仰向けに倒れている森田さんが見つかったのです。

その民家はブロック塀に囲まれていて、当時は人が住んでいなかったと報じられています。手や顔に軽いすり傷はあったものの、目立った着衣の乱れはありませんでした。27日の司法解剖で、死因は首を絞められたことによる窒息死と分かりました。

胃の中の食べ物はほとんど消化されておらず、警察は、森田さんが家を出てから間もなく殺害されたとみています。つまり、16日の夜、家族がまだ起きていたかもしれない時間に、すぐ近くで事件は起きていたことになります。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

沼津署の捜査本部は、一時は毎日100人ほどの態勢で現場周辺の聞き込みを続け、夜には現場近くの市道で検問も行いました。近くの家の防犯カメラの映像も集めています。それでも、家を出た後の森田さんの足取りはつかめませんでした。発見から3か月の時点で延べ約5000人の捜査員が投入されましたが、有力な手がかりは得られていません。

捜査本部は、森田さんが突然見知らぬ人物に襲われたのか、顔見知りの人物によるものなのか、両方の可能性を考えて捜査を進めていたと報じられています。

残された謎

いちばん大きな謎は、やはり森田さんがなぜ夜9時に家を出たのかです。財布も携帯も置いて出かけた理由は、今も分かっていません。

もう一つ気になるのが、遺体が見つかるまでに9日もかかったことです。家族も警察も、行方不明になった直後から近所を捜していたはずです。それでも、実家から100メートルの場所にいた森田さんは、すぐには見つからなかった。ブロック塀に囲まれた空き家の雑木林は、外からはほとんど見えない場所だったのでしょう。

説1:家の近くで、誰かと会うために出た

財布も携帯も持たずに出たことから、家のすぐ近くで誰かと会う約束があったのではないかという見方です。夜9時という時間を考えると、ありえない話ではありません。ただし、そうした約束があったことを示す情報は、何も報じられていません。

説2:たまたま外に出たところを襲われた

夕食のあと、少し外の空気を吸いに出たところを、通りがかった人物に襲われたという見方もあります。現場の近くには千本浜の海岸と松林が広がっていて、夜は明かりも少なく、人通りがほとんどない場所です。ただ、それならなぜ犯人は森田さんを、外から見えない空き家の敷地まで連れていったのかが説明しにくいのです。

未詳録の考察

この事件の資料を読んでいて、私がどうしても引っかかったのは、履物が実家の近くで見つかったことです。

森田さんの遺体が見つかったのは、100メートル離れた雑木林でした。一方で、履物は実家の近くに落ちていた。ということは、森田さんは家を出てすぐのところで何者かと出くわし、そこで履物が脱げるようなことが起きた。そして、そのまま空き家の敷地まで連れていかれた。私には、そういう流れに見えてしまうのです。

もしそうだとすると、犯人はその空き家のことを知っていたのではないかと考えます。塀に囲まれ、人が住んでおらず、外からは見えない。そんな場所を、夜の暗がりの中でとっさに選べるものでしょうか。土地勘のある人物だったのかもしれません。

それと、事件の数日前に森田さんが実家に戻ってきたばかりだったことも気になります。森田さんがその夜、実家にいると知っていた人は、それほど多くなかったはずです。もちろん、ここから特定の誰かを思い浮かべることはできませんし、すべきでもありません。犯人がたまたま通りかかった人物だった可能性も、十分にあるのです。

家族と夕食をとって、ほんの少し外に出ただけ。それなのに、帰ってこられなかった。100メートルという距離の短さを思うたびに、やりきれない気持ちになります。

事件がもたらした影響・結末

「家の近くだから安全」とは限らない

この事件は、自宅のすぐそばでも、夜の暗がりでは誰の目にも届かない場所があることを示しています。空き家や、塀に囲まれた敷地、明かりの少ない松林。普段は気にも留めない場所が、夜には死角になるのです。地域の空き家の管理や、夜道の明かりの大切さを考えさせられます。

時効のない事件として

殺人罪の公訴時効は2010年に撤廃され、2008年に起きたこの事件にも適用されました。死体遺棄罪の時効はすでに過ぎていますが、殺人については今も捜査を続けることができます。

事件は現在も未解決

2026年10月現在、事件は解決していません。静岡県警は、節目ごとに情報提供を呼びかける活動を続けています。

情報提供先

静岡県警察本部 刑事部捜査第一課
電話:054-271-0110

または、最寄りの警察署まで。

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参考資料

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