2014年11月1日。奈良県を夫婦で観光していた女性が、突然姿を消した。
林まゆみさん。当時56歳。
夫の洋二さんとバスツアーで奈良を訪れ、正倉院や若草山などを観光していた。
次の目的地へ向かう前。夫が土産物を買うため、「先にバスに乗っておいて」と伝えて、一時的にまゆみさんと離れた。
しかし夫が戻ってきたとき、まゆみさんはバスにいなかった。周辺を探しても見つからない。
その後、携帯電話の位置情報を調べると、まゆみさんの端末は奈良市内から離れた斑鳩町付近にあることが分かった。警察とともに周辺を捜索した。それでも、まゆみさんは見つからなかった。
2014年11月1日から約12年。2026年現在も、奈良県警はまゆみさんを行方不明者として公開し、情報提供を求め続けている。
林まゆみさん行方不明事案とは
奈良県警によると、林まゆみさんは2014年11月1日、奈良市内へ観光に来ていた際に行方が分からなくなった。
当時56歳。旧姓は原田。身長約160センチ。体型は普通。黒髪のショートカットだった。
失踪当時の服装は、
- クリーム色のジャンパー
- 黒色のズボン
- 黒色の革靴
- 薄緑色のショルダーバッグ
- 透明のビニール傘
奈良県警は現在も、この情報と写真を公開している。
夫婦で奈良を訪れていた
2025年11月の奈良新聞によると、まゆみさんは夫の林洋二さんとバスツアーで奈良県を訪れていた。夫妻はこの日、奈良市の正倉院や若草山を観光。その後、次の目的地へ向かうため、再びツアーバスへ戻る予定だった。
ここまでは、一般的な夫婦旅行だった。しかし、バスへ戻る直前のわずかな時間を境に、まゆみさんの足取りは途切れる。
「先にバスに乗っておいて」
次の目的地への出発前。夫の洋二さんは土産物を購入しようと、「先にバスに乗っておいて」とまゆみさんに伝え、一度その場を離れた。
買い物を終え、夫がバスへ戻った。ところが、まゆみさんの姿はなかった。
ほんの短時間だったはずの別行動。その間に、まゆみさんはどこかへ移動していた。夫は周辺を捜したが、見つけることができなかった。
携帯電話の位置情報は斑鳩町を示した
その後、携帯電話の位置情報が調べられた。そこで分かったのは、意外な場所だった。
奈良新聞によると、まゆみさんの携帯電話は、斑鳩町立斑鳩東小学校を中心とした半径約1.5キロ以内にあることが判明したという。
奈良市中心部から見ると、斑鳩町は離れている。
- まゆみさんがどのような経路でそこまで移動したのか
- 鉄道を利用したのか
- バスに乗ったのか
- 徒歩だったのか
- 誰かの車などで移動したのか
現在確認できる公開資料からは分からない。
警察と斑鳩町周辺を捜索
携帯電話の位置情報を手掛かりに、夫は警察官とともに斑鳩町周辺を捜した。しかし、まゆみさんを見つけることはできなかった。
携帯電話が示した範囲は半径約1.5キロ。一点を正確に示したものではなく、一定の範囲だった。その中には道路や住宅、施設などさまざまな場所が含まれる。
そして、この位置情報を最後に、まゆみさんの消息は途絶えた。
なぜ奈良市から斑鳩町へ移動したのか
この事案でもっとも不可解な点の一つである。
まゆみさんは奈良市内を観光していた。夫とは次の目的地へ向かうツアーバスに乗る予定だった。にもかかわらず、その後の携帯位置情報は斑鳩町付近を示した。
なぜ、本来乗る予定だったバスとは別方向へ移動したのか。まゆみさん自身が何らかの理由で移動したのか、道に迷ったのか、誰かと接触したのか。現在の公開情報だけから、その理由を決めることはできない。
当時、若年性認知症の傾向があったとの報道
2025年の奈良新聞は夫への取材として、まゆみさんには当時、若年性認知症の傾向があったと報じている。
ただし、これは失踪の原因が認知症だったことを意味するものではない。「迷って斑鳩町へ行った」「判断能力を失っていた」といったことまで確認されたわけではない。行方不明となった原因と、当時の健康状態を直接結びつける証拠は公開されていない。
あくまで、夫が長年の捜索を続ける中で明らかにした背景情報の一つとして扱う必要がある。
不可解な5つのポイント
1. 短時間でどこへ向かったのか
夫が買い物をするため、一時的に離れた。戻ると、まゆみさんはいなかった。長時間一人になっていたわけではない。
その短い時間に、どちらへ歩いたのか、何か交通手段を使ったのか、誰かと話したのか。最初の行動が分かっていない。
2. なぜバスへ戻らなかったのか
夫婦はバスツアーに参加していた。まゆみさんも、夫から「先にバスへ乗っておいて」と言われていた。それにもかかわらず、バスには戻っていなかった。
指示を聞き違えたのか、乗車場所が分からなくなったのか、何か別の理由が生じたのか。その答えはない。
3. どうやって斑鳩町まで移動したのか
その後の携帯位置情報は、斑鳩東小学校周辺を示した。しかし奈良市内から斑鳩町へ移動した具体的な方法は公表されていない。
交通機関の利用記録、目撃証言、防犯カメラ。こうした情報についても、現在公開されている県警資料には記載されていない。
4. 携帯電話があったのに、なぜ見つけられなかったのか
携帯位置情報によって、おおまかな範囲までは分かった。それでも本人は見つからなかった。
携帯電話を本人が持っていたのか、その後電源が切れたのか、端末だけが別の場所にあった可能性があるのか。こうした詳細も一般には明らかにされていない。
5. 約12年たっても手掛かりがない
夫はその後も、奈良県警などと協力しながら捜索を続けてきた。新聞広告を出す、県内の駅などにビラを掲示してもらう、情報提供を呼びかける。そうした活動を長年続けても、有力な情報には結びついていない。
夫が毎年、奈良を訪れ続けている
夫の洋二さんは、まゆみさんが行方不明になって以降、毎年春と秋の2回、まゆみさんの手掛かりを求めて奈良を訪れているという。
失踪から10年となった2023年10月30日にも、洋二さんは奈良県警をはじめとする関係機関を訪れ、引き続きの協力を求めた。「どんな小さな事でもいいので、とにかく情報がほしい」と、当時71歳だった洋二さんは語っている。
そして失踪から11年となった2025年11月5日にも、洋二さん(当時73歳)は奈良新聞社を訪れ、改めて妻の情報提供を呼びかけた。長年捜索を続けているものの、情報がほとんどないとして、心当たりのある人からの連絡を求めた。
時間が経てば、人の記憶は薄れていく。当時斑鳩町で見掛けた女性、駅やバス停で話した人物、道を尋ねてきた女性。当時は何とも思わなかった出来事が、現在になって意味を持つ可能性もある。
事件性は確認されていない
林まゆみさんの行方不明について、現在公開されている奈良県警資料では、犯罪事件としての記載はない。
誘拐された、誰かに連れ去られた、事件に巻き込まれた。そうした事実が確認されているわけではない。同様に、事故に遭った、自ら失踪した、ということも確認されていない。
現在分かっているのは、2014年11月1日に奈良を観光中、行方が分からなくなり、2026年現在も所在が確認されていないという事実である。奈良県警は2026年7月22日更新の一覧で、現在も林まゆみさんを15件の行方不明者手配の一人として掲載している。
2026年現在の林まゆみさん
奈良県警が公開している情報は、
- 名前:林まゆみさん
- 旧姓:原田
- 失踪当時:56歳
- 身長:約160センチ
- 体型:普通
- 髪型:黒髪、ショートカット
となっている。2014年当時56歳だったため、2026年現在は68歳前後にあたる。
ただし、警察が公開している写真は失踪当時のものになる。長期間が経過しているため、現在の容姿は変化している可能性がある。
情報提供先
奈良県警は現在も林まゆみさんについて情報を求めている。公式手配資料の連絡先は、
- 奈良警察署 生活安全課:0742-20-0110
または最寄りの警察署。奈良県警の行方不明者ページでも、心当たりがある場合は最寄りの警察署または県警本部人身安全対策課へ連絡するよう呼びかけている。
「先にバスに乗っておいて」から約12年
夫婦で参加した奈良観光。正倉院。若草山。次の目的地へ向かうバス。
夫は土産物を買うため、一時的に妻と離れた。「先にバスに乗っておいて」。日常的な一言だったはずだ。
しかし、夫が戻ったとき、まゆみさんはいなかった。その後の携帯電話は斑鳩町を示した。警察と探しても見つからなかった。そして現在まで、まゆみさんの所在は分かっていない。
犯罪だったと決まったわけではない。事故だったとも分からない。本人がどこかへ向かった理由も分からない。だからこそ、この事案では推測よりも、最後に確認された移動の痕跡が重要になる。
奈良市から斑鳩町へ。その間に、林まゆみさんに何があったのか。約12年が経過した現在も、その答えは見つかっていない。
参考資料
- 奈良県警察「行方不明者」
https://www.police.pref.nara.jp/0000000285.html - 奈良県警察「この人を探しています!! 林まゆみさん」PDF
https://www.police.pref.nara.jp/cmsfiles/contents/0000000/285/hayasi.mayumi.pdf - 奈良新聞「行方不明の妻、情報あれば一報を 11年前から捜索、林さんが呼びかけ 消息最後は奈良県斑鳩町付近」
https://www.nara-np.co.jp/news/20251107212604.html - 奈良新聞「2014年、奈良県内を観光中に行方不明の妻『どんな小さな事でもいいので、とにかく情報を』」
https://www.nara-np.co.jp/news/20231102214232.html


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