2023年6月8日。和歌山県串本町を一人で旅行していた韓国籍の男性が、突然消息を絶った。
名前は尹勢峻(ユン・セジュン)さん。当時26歳、韓国で社会福祉士として働いていたと報じられている。
尹さんは約1か月前に観光目的で日本へ入国し、福岡、大阪、奈良、京都、三重など各地を旅したあと、和歌山県を訪れていた。
6月8日午前、串本町潮岬付近の宿泊施設をチェックアウト。午後7時20分ごろには、串本町内を走るコミュニティバスを降り、潮岬郵便局前を歩く姿が運転手に目撃された。
そして午後9時すぎ。韓国にいる姉と電話で日常的な会話をした。これが、現在確認されている最後の連絡となった。
それ以降、尹さんの所在は分かっていない。2026年9月現在、和歌山県警の公式「行方不明者情報」ページを確認したところ、尹さんの情報は現在も掲載が続いている。写真や身体的特徴が公開され、情報提供が求められている状態に変わりはない。
事件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 行方不明者 | 尹勢峻(ユン・セジュン)さん |
| 国籍 | 大韓民国 |
| 行方不明当時の年齢 | 26歳 |
| 身長 | 約175センチ |
| 体格・髪 | 中肉、黒髪 |
| 所持品 | 黒色系のリュックサック、黒色系のスニーカー、携帯電話、クレジットカードなど |
| 行方不明になった日 | 2023年6月8日、串本町内を旅行中 |
| 最後の連絡 | 同日午後9時すぎ、韓国の姉との電話 |
| 総領事館届出 | 2023年6月16日(在大阪韓国総領事館) |
| 公開捜査開始 | 2023年8月1日 |
| 2026年9月現在 | 所在不明、和歌山県警「行方不明者情報」に掲載継続中 |
旅行経路と足取り(時系列)
尹さんが日本に入国してから連絡が途絶えるまでの経路を、報道内容に基づき時系列で整理した。
| 日時 | 出来事 |
|---|---|
| 5月9日 | 観光目的で日本へ入国 |
| 5月9日~6月2日ごろ | 福岡県、大阪府、奈良県、京都府、三重県などを旅行(単独旅行とみられる) |
| 6月3日 | 和歌山県内に入る |
| 6月7日 | バスで串本町・潮岬近くまで移動し、ゲストハウスに宿泊 |
| 6月8日 午前10時10分ごろ | ゲストハウスをチェックアウト(宿泊記録で確認できる最後の時点) |
| 6月8日 午前~日中 | バスで串本市街へ戻り、橋を渡って紀伊大島を訪問。その後再びバスで串本市街へ |
| 6月8日 午後5時42分ごろ | 串本町内のコンビニエンスストアでたばこを購入(記録で確認) |
| 6月8日 夕方 | レストランで夕食を済ませたとみられる |
| 6月8日 夜 | 串本コミュニティバス(潮岬・出雲線)に乗車 |
| 6月8日 午後7時20分 | 潮岬郵便局前でバスを下車。運転手が目撃(目撃による確認ができる最後の時点) |
| 6月8日 午後9時すぎ | 韓国にいる姉と電話。日常的な会話をしたと報じられている(確認できる最後の連絡) |
| 6月8日 夜以降 | 串本町内の宿泊施設を利用した記録は確認されず |
| 6月16日 | 在大阪韓国総領事館が行方不明届を提出、警察が捜索を開始 |
| 8月1日 | 和歌山県警が氏名・写真を公開し、公開捜査に切り替え |
宿のオーナーによると、尹さんは一般的なバックパッカーとは違って非常に身軽な荷物で旅をしており、最初は日本人だと思っていたという。
午後7時20分の目撃から午後9時すぎの電話まで、約1時間40分の間の行動は明らかになっていない。姉との電話がどこからかけられたものだったかについても、和歌山県警の公開資料に具体的な地点の記載はない。
通信・決済記録と捜索の経過
毎日新聞の当時報道によると、行方不明後、尹さんのクレジットカードや携帯電話が使用された形跡は確認されなかったとされている。交通機関の利用、買い物、宿泊、通信など、現代の旅行では何らかの記録が残ることが多いが、6月8日夜以降にそうした利用記録は確認されていない。
警察は駅などの防犯カメラを調査し、宿泊施設やレンタカー会社などへ照会を行った。海上保安庁とも連携し、串本町周辺の海なども捜索したが、有力な手掛かりは見つからなかった。
公開捜査開始時点で、和歌山県警は事件性を直接示す情報は入っていないとしていた。一方で、事件や事故の可能性も視野に入れて捜索を続けていたとされる。尹さんが犯罪に巻き込まれたと確認されているわけではなく、事故だったとも、自発的に姿を消したとも確認されていない。現在分かっているのは、所在が確認できない状態が続いているという事実のみである。
残された5つの疑問
1. なぜ紀伊大島や潮岬を再訪したのか 尹さんは6月8日朝にゲストハウスをチェックアウトしたあと、いったんバスで串本市街に戻り、橋を渡って紀伊大島を訪れている。その後、再び串本市街へ戻り、さらに夜には潮岬方面へ向かうバスに乗っている。同じ潮岬周辺を一度離れてから再び戻るという動き方であり、単純な観光ルートとして自然なのか、宿泊先や誰かとの合流地点を探していた動きだったのか、外部から確認することはできない。
2. 午後7時20分から午後9時すぎまでの行動 潮岬郵便局前でバスを降りてから、姉に電話するまでの約1時間40分。この間、尹さんがどこにいたのか、徒歩で移動していたのか、誰かと会っていたのかは分かっていない。電話をかけた地点についても、和歌山県警の公開資料に具体的な位置の記載はなく、通話記録の詳細も明らかにされていない。バスの目撃と電話という、時刻の分かる2つの点の間を、公開情報だけでは埋めることができない。
3. 宿泊予定の有無 6月7日はゲストハウスに宿泊していたが、6月8日夜については串本町内の宿泊施設を利用した記録が確認されていない。あらかじめ別の宿を予定していたのか、野外で過ごすつもりだったのか、あるいはその日のうちに串本町から別の地域へ移動するつもりだったのか。身軽な荷物で旅をしていたと宿のオーナーが証言していることを踏まえても、その夜の具体的な計画は分かっていない。
4. 携帯電話・カードが使われなかった理由 失踪後、携帯電話とクレジットカードの利用形跡が確認されていない。現代の旅行者であれば、決済や通信で何らかの記録が残ることが多いが、尹さんについては6月8日夜以降、そうした記録が一切確認されていない。本人が意図的に使用しなくなったのか、端末を使用できない状況になったのか、その理由は不明である。
5. 大規模な捜索でもなぜ手掛かりが見つからないのか 警察は防犯カメラを調査し、宿泊施設やレンタカー会社などへの照会を行った。海上保安庁とも連携し、周辺の海も捜索している。それでも本人の所在はもちろん、行方につながる決定的な物証も見つかっていない。3年以上が経過した2026年現在も県警の公式ページに掲載が続いていること自体が、有力な手掛かりが得られていない状態を示している。
潮岬という土地、そして憶測との線引き
潮岬は紀伊半島南端に位置し、本州最南端として知られる地域である。海に面した景勝地である一方、周辺には自然の多い場所もある。ただし「海へ転落したのではないか」「山中で事故に遭ったのではないか」といった説は、現在確認されている事実ではない。警察が海上保安庁と捜索したことは確認できるが、それだけで事故の発生場所や原因を決めることはできない。
尹さんの事案については、インターネット上でさまざまな説が語られている。しかし2023年の公開捜査開始時点で、和歌山県警は事件性を疑わせる具体的な情報は入っていないとしていた。したがって、外国人を狙った犯罪、誰かによる誘拐、第三者による殺害などを事実として扱う根拠は現時点ではない。同時に、事故だったと断定できる証拠もない。未詳録では、可能性として語られていることと、確認された事実とを分けて扱う。
2026年現在も続く情報提供の呼びかけ
和歌山県警察の公式「行方不明者情報」ページを2026年9月時点で確認したところ、尹勢峻さんの情報は現在も掲載されている。国籍、当時26歳、身長約175センチ、中肉、黒髪、黒色系のリュックサック、黒色系のスニーカー、携帯電話・クレジットカード等を所持、という情報が公開されており、記載内容に大きな変更は見られない。行方不明から3年以上が経過した現在も、正式に情報提供が求められている状態が続いている。
情報提供先
- 和歌山県警察本部 人身安全対策課:073-423-0110
- 新宮警察署 生活安全刑事課:0735-21-0110
- または最寄りの警察署
夜9時すぎの電話を最後に
尹勢峻さんは、一人で日本を旅していた。福岡、大阪、奈良、京都、三重、和歌山。約1か月にわたり各地を巡った末に、串本町へたどり着いた。
6月8日朝に潮岬近くの宿を出て、紀伊大島を訪れ、串本市街で夕食を取った。そして夜、潮岬方面へ向かうバスに乗り、午後7時20分、潮岬郵便局前で降りる姿が運転手に目撃された。午後9時すぎ、韓国にいる姉と電話した。
その後、携帯電話もカードも使われず、宿泊した記録も確認されていない。警察や海上保安庁が捜索しても、有力な手掛かりは見つからなかった。事件なのか、事故なのか、それとも別の事情なのか。2026年現在も答えは出ていない。
確かなのは、和歌山県警が今も尹勢峻さんを捜しているということだ。3年以上前、潮岬方面へ向かった26歳の旅行者は、いまどこにいるのか。その答えはいまだ見つかっていない。
参考資料
和歌山県警察「行方不明者情報」— 尹勢峻さんは2026年現在も掲載中。和歌山県警察・行方不明者情報
和歌山放送「行方不明の韓国人男性 公開捜査開始」(2023年8月1日)。和歌山放送の記事
毎日新聞配信「26歳韓国人旅行客が行方不明 和歌山県警が情報提供呼びかけ」(2023年8月1日)。


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