和光市本町女性看護師殺人事件|78歳の現役看護師、早退した日の夕方から9日間の空白

2000年代

2004年3月31日、水曜日。年度の最後の日の昼ごろ、埼玉県和光市で看護師として働いていた78歳の女性が、勤務先を早退しました。その日の午後5時40分ごろ、自宅の近くを歩いている姿を同僚の看護師が見かけています。それが、女性の最後の目撃になりました。

9日後の4月9日、女性は和光市本町のワンルームマンションの一室で、首を絞められて殺害されているのが見つかりました。それから22年。犯人は今も分かっておらず、埼玉県警は「どんなささいな情報でも」と呼びかけ続けています。

事件の概要

項目内容
最後の目撃2004年(平成16年)3月31日 午後5時40分ごろ、自宅近くを歩いているところを同僚の看護師が目撃
発見2004年4月9日 午前10時30分ごろ
場所埼玉県和光市本町のワンルームマンション(4階建て)の一室。東武東上線和光市駅の南西約900メートル
被害者女性看護師(当時78歳)
状況首を絞められて殺害されていた
事件の種類殺人
担当埼玉県朝霞警察署 刑事課
現在未解決(時効なし)

年度末の日に早退した78歳の看護師

78歳と聞くと、ふつうは仕事を退いて久しい年齢です。それでもこの女性は、看護師として働き続けていました。最後に女性を見かけたのが同僚の看護師だったことからも、職場の人たちと日ごろから顔を合わせる毎日を送っていたことがうかがえます。

その女性が、3月31日の昼ごろに勤務先を早退しました。埼玉県警はその理由を公表していません。体調が悪かったのか、誰かと会う用事があったのか、それとも年度末ならではの事情があったのか。早退から午後5時40分の目撃までの数時間に、女性がどこで何をしていたのかも分かっていません。

同僚が見かけたとき、女性は自宅の近くを歩いていました。県警によれば、女性はこのあと「所在不明」になります。翌日からの新年度、職場に姿を見せない女性のことを、誰かが心配していたのかもしれません。

9日後、ワンルームマンションの一室で

女性が見つかったのは、4月9日、金曜日の午前10時30分ごろでした。場所は、東武東上線の和光市駅から南西へ約900メートルの、4階建てのワンルームマンションの一室です。駅から歩いて10分あまりのその部屋で、女性は首を絞められて殺害されていました。

最後の目撃から発見までは、ちょうど9日間あります。ただ、これは「殺害されるまでに9日あった」という意味ではありません。県警は女性が亡くなったと推定される日時を公表しておらず、3月31日の夜だったのか、もっと後だったのかは分からないのです。誰が女性を見つけたのか、部屋の鍵がどうなっていたのかも、明らかにされていません。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

事件を担当しているのは朝霞警察署の刑事課です。埼玉県警の「未解決凶悪事件」のページには16件の事件が並んでいて、この事件もその一つとして載り続けています。ページは2025年12月にも更新され、犯人を知っている人、現場付近で不審な人や車を見た人、話したいことがある人に、情報を寄せてほしいと呼びかけています。情報を寄せた人の秘密は守る、とも書かれています。

気になるのは、県警がこの事件を「強盗殺人」ではなく「殺人事件」としていることです。同じ一覧には「強盗殺人事件」と名づけられた事件もあります。少なくとも、お金や物を奪うことが目的だったと警察が判断しているわけではない、ということなのです。

残された謎

まず、女性がなぜ早退したのか。そして、午後5時40分に自宅近くで目撃されてから、いつ、どこで襲われたのか。犯人がどうやって部屋に入ったのか、女性と犯人にどんな接点があったのかも分かっていません。公表されている情報は、発見の日時と場所、最後の目撃、そして首を絞められていたこと。それがほぼすべてです。

説1:その夜、誰かが部屋を訪ねてきた

早退した日の夕方、女性は誰かと会う約束があり、その相手を部屋に迎え入れたのではないか、という見方です。強盗殺人とされていないことや、刃物ではなく首を絞めるという手口からは、犯人がすぐそばまで近づける状況だったことがうかがえます。ただ、早退の理由と結びつける材料は公表されていません。

説2:帰り道に目をつけられた

自宅の近くを歩いていた女性が、あとをつけられ、部屋に入るところを狙われたという見方です。高齢の女性が一人で帰宅するところを見て、犯行に及んだ可能性も考えられます。ただ、その場合に何が目的だったのかは、はっきりしません。

説3:物盗りが目的だった

高齢者の部屋を狙った物盗りが、見つかって犯行に及んだという見方です。高齢者が自宅で襲われる事件では、よく考えられる筋書きでもあります。ただ、県警がこの事件を「殺人事件」としていることを考えると、少なくとも物が盗まれたとはっきり分かっているわけではなさそうです。

未詳録の考察

この事件を調べていて、いちばん心に残ったのは「78歳の現役の看護師」という一点です。長い年月、病気やけがで苦しむ人のそばにいた人が、自分の部屋で命を奪われた。その理不尽さに、言葉を失います。

私は、この事件の鍵は3月31日の「早退」にあると考えます。いつも通り働いていれば、女性は夕方まで職場にいたはずです。その日だけ昼に職場を出たのには、何か理由があったのでしょう。それが誰かとの約束だったのなら、相手を知る大きな手がかりになったでしょう。県警がその理由を公表していないのは、捜査の核心に関わるからではないでしょうか。

もう一つ気になるのは、「強盗殺人」ではないという点です。お金が目的ではなかったのなら、犯人は女性に何らかの感情を向けていた人物だったのかもしれません。もちろん、それが誰なのかを示す材料は何もありません。だからこそ、当時の女性の周りで見聞きしたことが、22年たった今も意味を持つのだと思います。

事件がもたらした影響・結末

時効の撤廃で、今も罪に問える事件に

事件が起きた2004年当時、殺人罪の時効は15年でした。そのままなら、2019年には時効を迎えていたことになります。ところが2010年4月27日、殺人など、人を死なせ、死刑にあたる罪の時効を廃止する法律が施行されました。この改正は、施行の時点でまだ時効を迎えていない事件にも当てはまるため、この事件にはもう時効がありません。犯人が見つかれば、今でも罪に問うことができるのです。

ワンルームで暮らす高齢者と「9日間」

女性が見つかるまでに9日かかったことは、高齢者が一人で暮らすことの難しさも映しています。まだ働いていて、職場とのつながりがあった人でさえ、すぐには見つけてもらえなかったのです。今では自治体や地域の見守り活動、安否確認のサービスなども増えましたが、連絡がつかないときに誰がどう動くのかは、今も多くの家庭や職場にとって他人事ではないはずです。

22年たっても続く呼びかけ

埼玉県警は今も事件のページを更新し、フリーダイヤルやメールでも情報を受け付けています。2004年の春、和光市本町のあたりで見かけた人や車、女性の周りで耳にした話。当時は気にも留めなかったことが、今になって大切な手がかりになることもあるはずです。

情報提供先

埼玉県朝霞警察署 刑事課
電話:048-465-0110(代表)
フリーダイヤル:0120-754-555

埼玉県警の事件ページにあるメールフォームからも情報を送れます。情報を寄せた人の秘密は守られます。

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参考資料

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