2001年5月29日、火曜日。神戸市須磨区川上町のマンションの2階の一室で、そこに住んでいた男性が殺害されているのが見つかりました。
その5日前の5月24日、ある男がATMで、男性の口座から現金を引き出していました。防犯カメラに残ったその姿を、兵庫県警は「容疑者(当時)」として今も公開しています。40〜60歳くらいのがっちりした男で、左耳の下にイボかホクロのようなものがある。それだけの特徴が分かっていながら、25年たった今も、男が誰なのかは分かっていません。
事件の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発見 | 2001年(平成13年)5月29日(火) |
| 場所 | 神戸市須磨区川上町のマンション2階の居室 |
| 被害者 | その部屋に住んでいた男性(氏名・年齢は公表されていない) |
| 事件の種類 | 殺人 |
| 手がかり | 5月24日、男性の口座から現金を引き出す男がATMの防犯カメラに写る |
| 男の特徴 | 40〜60歳くらい、身長160〜170センチくらい、がっちりした体格、左耳の下にイボまたはホクロのようなもの |
| 担当 | 兵庫県須磨警察署 刑事第一課 |
| 現在 | 未解決(時効なし) |
マンションの一室で見つかった男性
現場は、神戸市須磨区の川上町にあるマンションです。男性はその2階の部屋に住んでいて、5月29日、その部屋で殺害されているのが見つかりました。
兵庫県警が公開しているのはここまでで、男性の名前や年齢、どのように命を奪われたのか、誰が見つけたのかは明らかにされていません。県警のページには現場付近の略図が載っているだけです。それでも、この事件には他の多くの未解決事件にはない、はっきりとした手がかりがあります。
5日前、ATMに写った男
男性が見つかる5日前の5月24日、木曜日。被害者の口座から現金を引き出した男が、ATMの防犯カメラに写っていました。県警はこの男を「容疑者(当時)」として、5枚の画像を公開しています。
公表されている特徴は、年齢が40〜60歳くらい、身長が160〜170センチくらい、体格はがっちり型。そして、左耳の下にイボかホクロのようなものがあります。年齢の幅は広いものの、耳の下の特徴は、顔を見たことのある人なら思い当たるかもしれない手がかりです。どこのATMだったのか、どの金融機関だったのか、いくら引き出されたのかは公表されていません。
男がなぜ被害者の口座からお金を引き出せたのか。キャッシュカードか通帳を手に入れ、暗証番号まで知っていたことになります。男性から聞き出したのか、どこかで知ったのか、もともと男性と親しい間柄だったのか。そのいきさつも分かっていません。
捜査と謎・数々の説
警察の動向
事件を担当しているのは須磨警察署の刑事第一課です。兵庫県警の「事件捜査にご協力を!」のページには11件の事件が載っていて、この事件はそのうちの一つです。県警は、犯人を知っている人、写真の人物に心当たりがある人、事件について何か聞いたことがある人に、どんなささいなことでも知らせてほしいと呼びかけています。
見逃せないのは、口座からお金が引き出されているのに、県警がこの事件を「強盗殺人」ではなく「殺人事件」としていることです。同じ一覧には「強盗殺人事件」とされた事件も並んでいます。お金を奪うために殺したのか、殺したあとでお金を引き出したのか。県警がどう見ているのかは、事件名からはうかがえないのです。
残された謎
いちばんの謎は、5月24日の時点で男性が生きていたのかどうかです。男性が亡くなった日が公表されていないため、男が現金を引き出したのが事件の前なのか後なのかが分かりません。ATMの男と殺害した犯人が同じ人物なのか、犯人が一人だったのかも明らかにされていません。
説1:ATMの男が殺害し、お金を引き出した
男性を殺害した犯人が、部屋にあったカードなどを持ち出し、現金を引き出したという見方です。県警が男を「容疑者」として画像を公開しているのは、この可能性を重く見ているからでしょう。この場合、男性は5月24日かそれより前に亡くなっていて、見つかるまでに5日以上かかったことになります。
説2:お金をめぐって知り合いとトラブルになった
男が暗証番号まで知っていたのは、男性と知り合いだったからではないか、という見方です。お金のやり取りをめぐって関係がこじれ、事件につながった可能性も考えられます。ただ、男と男性の関係を示す発表はありません。
説3:ATMの男と殺害の犯人は別
口座からお金を引き出した男と、男性の命を奪った人物は別だったという見方です。複数の人物が関わっていた可能性もあります。県警が男を「容疑者(当時)」と書いていることから、捜査のなかで位置づけが変わった可能性もゼロではありませんが、画像は今も公開されたままです。
未詳録の考察
この事件を調べていて悔しく思うのは、犯人に近い人物の姿がはっきり残っているのに、25年たっても名前にたどり着けていないことです。防犯カメラに写った男、左耳の下の特徴。2001年当時、これほどの手がかりがありながら解決しなかったのは、男が被害者の身近な人間関係の外にいたからではないか、と私は考えます。身近な知り合いなら、写真を見た誰かが気づいたはずだからです。
一方で、暗証番号を使ってお金を引き出せたという事実は、男と男性の間に何らかの接点があったことを示しているようにも思えます。暗証番号を無理やり聞き出したのか、メモを見つけたのか、それとも信頼して教えていたのか。この一点が分かれば、事件の見え方は大きく変わるはずなのです。
当時40〜60歳だった男は、今では65〜85歳くらいになっています。顔つきは変わっても、耳の下のイボやホクロは残っているかもしれません。家族や昔の同僚、近所の人の中に、「あの人に似ている」と感じる人がいてもおかしくないのではないでしょうか。
事件がもたらした影響・結末
時効の撤廃で、今も罪に問える事件に
事件が起きた2001年当時、殺人罪の時効は15年でした。そのままなら、2016年には時効を迎えていたことになります。ところが2010年4月27日、殺人など、人を死なせ、死刑にあたる罪の時効を廃止する法律が施行されました。この改正は施行の時点でまだ時効を迎えていない事件にも当てはまるため、この事件の殺人には、もう時効がありません。
防犯カメラの画像は、今も手がかりになる
2001年の防犯カメラの画像は、今の映像に比べれば粗いものです。それでも、県警はこの画像を公開し続けています。ATMの防犯カメラが、被害者の口座からお金を引き出した人物の姿をとらえる。この事件は、そうした手がかりの大切さと同時に、映像があっても名前にたどり着けないことがあるという現実も教えてくれます。
25年たっても続く呼びかけ
兵庫県警は今も、男の画像を公開したまま情報を待っています。情報の内容によっては謝礼が出る場合もあるとしています。写真の男に見覚えがある人、2001年5月ごろの須磨区川上町のあたりで何かを見聞きした人の一言が、25年止まっていた時間を動かすかもしれません。
情報提供先
兵庫県須磨警察署 刑事第一課
電話:078-731-0110(代表)
兵庫県警のページにある情報メールの窓口からも送れます。情報を寄せた人の秘密は守られ、匿名でも受け付けています(匿名の場合、謝礼の対象にはなりません)。
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防犯カメラに男の姿が残りながら、名前にたどり着けていない東京の事件。
参考資料
- 兵庫県警察「神戸市須磨区川上町における男性殺人事件」
発見の日と場所、5月24日にATMで現金を引き出した男の画像と特徴、須磨警察署の連絡先、謝礼と匿名の扱いを確認。 - 兵庫県警察「事件捜査にご協力を!」
県警が情報を求めている11件の事件の一覧を確認。 - 法務省「法務省だより あかれんが Vol.31」
2010年4月27日施行の公訴時効の見直しと、施行時点で時効を迎えていない事件への適用について確認。


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