羽島市「丹波屋」女性従業員強盗殺人事件|朝の店で見つかった同僚、奪われた売上金と28年の空白

1990年代

1998年4月14日、火曜日の朝8時50分ごろ。岐阜県羽島市竹鼻町にある「丹波屋」羽島店に出勤してきた従業員が、店の奥の床に倒れている同僚の女性を見つけました。女性は首にタオルを巻き付けられるなどして、すでに亡くなっていました。店からは、売上金10数万円がなくなっていたのです。

岐阜県警は強盗殺人事件として岐阜羽島警察署に特別捜査本部を置きましたが、それから28年たった今も、犯人は捕まっていません。県警は今も「どんな些細なことでも結構です」と、情報を求め続けています。

事件の概要

項目内容
発見1998年(平成10年)4月14日(火)午前8時50分ごろ
場所岐阜県羽島市竹鼻町の「丹波屋」羽島店
被害者店の女性従業員
状況店の奥の床の上で、首にタオルが巻き付けられるなどして亡くなっていた
被害売上金10数万円がなくなっていた
事件の種類強盗殺人
捜査特別捜査本部(岐阜羽島警察署)
現在未解決(時効なし)

市の真ん中の店で起きた事件

竹鼻町は、羽島市役所がある市の中心部です。名鉄竹鼻線が通る昔からの町なかで、決して人けのない場所ではありません。事件が起きたのは、そんな町なかにあるお店でした。

見つけたのは、いつものように出勤してきた従業員です。店の奥で同僚が倒れているのを見つけ、通報しました。岐阜県警が公表している内容によれば、女性は店舗奥の床の上で、首にタオルを巻き付けられるなどして亡くなっていました。そして、店の売上金10数万円が消えていました。

県警が今も公式サイトで公開しているのは、ほぼこれだけです。亡くなった女性の名前や年齢は載っておらず、犯人の特徴や似顔絵、防犯カメラの映像といった情報もありません。当時の新聞報道もネット上ではほとんど見つからず、28年前のこの朝のことを知る手がかりは、驚くほど少ないのです。未詳録でも、女性のお名前は伏せて「女性従業員」と書くことにします。

開店前の店で、何が起きたのか

この事件でまず考えたいのは、「いつ」襲われたのかです。女性が見つかったのは、同僚が出勤してきた朝8時50分ごろ。店はまだ開く前だったと考えられます。

そうすると、可能性は大きく2つに分かれます。前の日の閉店のころ、売上金を数えたりまとめたりしている時間に襲われたのか。それとも、その朝、誰よりも早く店に来て開店の準備をしていたところを襲われたのか。県警は、女性が亡くなったと推定される時刻を公表していないため、どちらなのかは分かっていません。

なくなったのが「売上金」だったことも見逃せません。犯人は、店のどこにお金があるのかを知っていたのか、それとも女性を脅して出させたのか。わずか10数万円のために人の命が奪われたのだとしたら、これほどやりきれない話はないのではないでしょうか。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

岐阜県警は、岐阜羽島警察署に「羽島市内『丹波屋羽島店』における女性従業員被害の強盗殺人事件特別捜査本部」を置き、今も捜査を続けています。県警の「情報提供の依頼」のページには、県内で起きた9件の未解決凶悪事件が並んでいて、この事件はその一つです。

ほかの未解決事件では、犯人の特徴や遺留品、防犯カメラの画像などを公開して情報を募る例も少なくありません。それに比べると、この事件の公開情報は極端に少ない。警察がつかんでいる手がかりを、あえて表に出していないのかもしれません。

残された謎

犯人がどこから店に入ったのか、店の鍵はどうなっていたのかは公表されていません。女性が一人で店にいた理由も、売上金がどのような状態で店に置かれていたのかも分かっていません。犯人が一人だったのか、複数だったのかさえ、外からはうかがえないのです。

説1:閉店後、売上金を狙われた

店じまいのあと、その日の売上金がまだ店にある時間帯を狙ったという見方です。人通りが減り、従業員も少なくなる閉店直後は、店を狙う強盗にとって都合のいい時間でもあります。ただ、その場合、女性はひと晩じゅう誰にも見つけられなかったことになります。

説2:開店準備の朝に襲われた

女性が朝、ほかの従業員より早く店に入り、準備をしていたところを襲われたという見方です。同僚が8時50分ごろに出勤してきたことを考えると、時間の流れとしては自然です。犯人は、朝のこの時間なら店に一人しかいないと知っていたのかもしれません。

説3:店の事情を知っていた人物

売上金の置き場所や、店に人が少なくなる時間を知っていた人物ではないか、という見方もあります。客として何度も店を訪れ、様子をうかがっていた可能性も考えられます。ただ、それを裏付ける発表はなく、たまたま店を狙った強盗だった可能性も同じようにあります。特定の誰かを思い浮かべるような話ではありません。

未詳録の考察

この事件の記録を読んでいて胸が痛むのは、それがあまりにも「いつもの朝」の中で起きたことです。いつものように出勤した同僚が、いつもの店の奥で、一緒に働いていた人の変わり果てた姿を見つけた。その衝撃は、28年たっても消えるものではないと思います。

私は、犯人は店の様子をある程度知っていたのではないかと考えます。開店前か閉店後か、どちらにしても店に人がほとんどいない時間に、売上金のある店を狙っているからです。ただし、それは「店の関係者」という意味ではありません。何度か客として訪れるだけでも、店の様子はある程度分かるものです。

公開されている情報が少ないのは、裏を返せば、警察がまだ表に出していない手がかりを持っている可能性があるということでもあります。だからこそ、当時の竹鼻町で見かけた人や車、あの朝の前後に耳にした話が、今になって意味を持つこともあるのではないでしょうか。

事件がもたらした影響・結末

時効の撤廃で「終わらない事件」に

この事件は、時効の撤廃によって救われた事件の一つです。事件が起きた1998年当時、強盗殺人の時効は15年で、本来なら2013年4月に時効を迎えるはずでした。ところが、その3年前の2010年4月27日、殺人や強盗殺人など、人を死なせ、死刑にあたる罪の時効を廃止する法律が施行されます。この改正は、施行の時点でまだ時効を迎えていない事件にも適用されるため、この事件にはもう時効がありません。犯人が見つかれば、今でも罪に問うことができるのです。

一人で店にいる時間の危うさ

開店前や閉店後、従業員が一人で店にいる時間は、今も昔も狙われやすい時間です。2023年5月、同じ羽島市内のコンビニで刃物を使った強盗事件が起きた際も、岐阜県警は事業者に向けて、なるべく複数で勤務すること、深夜や閉店直後の警戒を強めること、レジの現金を少なくしておくことを呼びかけています。1998年当時に比べて防犯カメラは格段に増えましたが、一人で店を開け閉めする働き方そのものは、今も多くのお店に残っているのではないでしょうか。

28年たっても続く呼びかけ

事件から28年がたっても、岐阜県警はこの事件を公式サイトに載せ続けています。当時20歳だった人も、今は48歳です。当時は気にも留めなかった光景が、今思えば引っかかる。そんな記憶が、一つでも残っていることを願わずにはいられません。

情報提供先

羽島市内「丹波屋羽島店」における女性従業員被害の強盗殺人事件特別捜査本部(岐阜羽島警察署)
電話:058-387-0110

1998年4月14日の前後に、羽島市竹鼻町のあたりで見かけた人や車、耳にした話があれば、どんなに小さなことでも構いません。

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参考資料

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