仕事中に奪われた命|勤務先・配達先で起きた8つの未解決事件

特集

店を開ける準備をする。閉店後の片付けをする。深夜のレジに立つ。子どもたちを預かる。家々に情報誌を配る。どれも、本来なら特別なことのない日常の仕事です。

けれど未詳録には、勤務先や仕事の途中で命を奪われ、今も犯人が分かっていない事件がいくつも記録されています。このページでは、その中から8つの事件をまとめました。

被害者が「その仕事をしていたから狙われた」と確認されている事件は、一つもありません。強盗が目的とみられる事件もあれば、動機そのものが分からない事件もあります。それでも並べてみると、見過ごせない共通点が浮かび上がってくるのです。

1995年|高浜子供ルーム女性指導員殺人事件

千葉県千葉市/学童保育の指導員・46歳

学童保育所「高浜子供ルーム」の指導員だった石崎愛子さんが、施設の中で首を絞められて殺害されました。前の晩、保護者会の後に東京都内の自宅へ帰る電車がなくなり、その夜だけ施設に泊まっていたと報じられています。本来なら、そこにいるはずのない夜だったのです。

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1998年|大分市松岡郵便局強盗殺人事件

大分県大分市/郵便局長・57歳

夜、郵便局の敷地内で局長の大津豊記さんが刃物で刺されて亡くなり、手提げバッグが奪われました。バッグに入っていたのは、郵便局のお金ではなく家族の通帳などだったと報じられています。大津さんが見つかったのは事件から約4時間半後で、延べ約9万1000人の捜査員が投入された今も、犯人は分かっていません。

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1998年|羽島市女性従業員強盗殺人事件

岐阜県羽島市/店舗の従業員

1998年4月14日の朝、「丹波屋羽島店」に出勤した従業員が、店の奥で倒れている女性従業員を見つけました。女性の首にはタオルが巻き付けられるなどしており、店からは売上金十数万円がなくなっていました。開店前の店で、何が起きたのでしょうか。

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2000年|東久留米市大門町ファミコンショップ内殺人事件

東京都東久留米市/店の経営者・44歳

2000年4月30日の午後9時55分ごろ、店を訪れた客が、ファミコンショップの店内で頭から血を流して倒れている男性経営者を見つけました。警視庁は似顔絵を公開して、ある人物についての情報を求め続けています。26年たっても、その人物が誰なのかは分かっていないのです。

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2000年|広島市佐伯区スーパー店員強盗殺人事件

広島県広島市/スーパーの従業員・36歳

夜のスーパーで、従業員の新谷進さんが刃物で刺されて亡くなり、手提げ金庫などが奪われました。広島県警は、凶器のナイフのメーカーと品番、犯人が履いていた運動靴の製品名、作業ズボンの寸法まで公開しています。ここまで分かっていて、なぜ犯人にたどり着けないのでしょうか。

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2004年|日本橋室町一丁目チケットショップ内女性店員殺人事件

東京都中央区/女性店員・37歳

午後6時に閉店した後、一人で閉店作業をしていた女性店員が、チケットショップの中で刺されて亡くなりました。警視庁は防犯カメラに映った男を「殺人犯人です!」と明記して映像まで公開し、男が持っていた格子柄の傘も現場に残されています。映像も遺留品もあるのに名前だけが分からない、もどかしい事件なのです。

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2010年|ローソン加賀桑原町店強盗殺人事件

石川県加賀市/コンビニの店長・68歳

午前3時前、かつらで変装した男がコンビニに押し入り、店長の山崎外茂治さんに金を要求しました。もみ合いの末に刺された山崎さんは、自ら110番通報しましたが、病院で亡くなりました。防犯カメラの映像、かつら、長靴、上着、凶器、逃走に使われたトラックまで公開されています。これだけの手がかりがあっても解決しない事件があるのだと、思い知らされます。

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2014年|浜松市子安町女性介護士殺人事件

静岡県浜松市/介護士・50歳

介護士の大橋貞子さんは、この夜、情報誌を家々の郵便受けに配るアルバイトに出かけていました。帰宅しないため夫が行方不明者届を出し、翌朝、大橋さんは近くの民家の玄関先で首を切られて亡くなっているのが見つかりました。夜の住宅街を回る、ごく普通の仕事の途中だったのです。

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事件が起きた時間帯を並べてみると

8つの事件は、仕事の内容も現場も、動機とみられるものもまったく違います。「仕事中に起きた」という共通点だけで、一つの犯人像を作ることはできません。

ただ、事件が起きた時間帯を並べてみると、ある共通点が見えてきます。

事件時間帯そのときの状況
羽島市朝、開店前出勤した従業員が発見
日本橋夕方、閉店後一人で閉店作業中
広島市佐伯区夜スーパーの店内
東久留米市夜午後9時55分ごろ客が発見
大分市松岡夜、午後10時前郵便局の敷地内
浜松市子安町夜一人で情報誌を配達中
高浜子供ルーム深夜、午前1時〜4時一人で施設に泊まっていた
加賀市深夜、午前3時前一人で店番中

開店前、閉店後、夜、深夜。8件のほとんどが、職場に人が少ない時間帯に起きています。被害者が一人だったとはっきり分かっている事件も少なくありません。昼間なら同僚や客の目がある場所でも、時間帯によっては一人きりになる。そのわずかな時間に事件が起きているのではないでしょうか。

もちろん、それが犯人に狙われた理由だと確認されているわけではありません。けれど、夜間や早朝に一人で働く人を守る備えを考えるうえで、見過ごしてはいけない共通点だと考えます。

「いつもの仕事」が、戻れない場所になった

これらの記事を並べて私が一番重く感じるのは、どの被害者も特別な場所へ向かったわけではなかったということです。いつもの店、いつもの勤務先、いつもの仕事、あるいはその日の配達先。事件が起きるまで、そこはただの日常の場所でした。

高浜子供ルームでは、帰りの電車を逃して偶然職場に泊まった夜に事件が起きました。浜松では、住宅街で情報誌を配っていた途中に大橋さんが襲われました。日本橋では閉店作業の最中、羽島では開店前、加賀では深夜の店番の最中です。

「いつもの仕事をしていただけだった」。この一つの事実が、8件すべてに重くのしかかっているのです。だからこそ、それぞれの事件について警察が今も公開している手がかりを、少しでも多くの人に知ってほしいと考えます!

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