青森市高齢女性2人殺人事件|100m先で1週間後に2人目、8年未解決

2010年代

2018年6月、青森市の住宅街で一人暮らしの高齢女性2人が相次いで殺害された。6月12日に旭町1丁目で菊地のり子さん(当時67歳)が、その1週間後には約100メートル離れた北金沢2丁目で小山和子さん(当時79歳)が遺体で見つかっている。

2人とも首を絞められており、小山さんには胸や腹を刃物で刺された傷もあった。どちらの現場にも金品を物色した形跡は確認されていない。警察は2つの事件を連続殺人の可能性が高いとみて、これまでに延べ13万人を超える捜査員を投入してきたが、2026年現在も犯人は捕まっていない。

事件概要

項目1件目2件目
発見日時2018年6月12日午前11時30分ごろ2018年6月19日午前8時25分ごろ
犯行可能期間(県警)6月9日〜12日6月14日〜19日
場所青森市旭町1丁目青森市北金沢2丁目
被害者菊地のり子さん(67歳)小山和子さん(79歳)
暮らし一人暮らし一人暮らし、商店を経営
発見場所自宅玄関近くの廊下店舗兼住宅の勝手口付近
発見者訪ねてきた妹訪ねてきた知人男性
殺害の状況首を絞められた首を絞められ、胸や腹を刺された
物色の形跡なしなし
現在未解決未解決

2つの現場の距離は約100メートルである。

現場・旭町と北金沢はどんな場所か

旭町は青森市の市街地の南東側にある町で、北西側で北金沢と接している。町の大半は住宅地と小さな工場で占められ、北側には青森信号場がある。

つまり2つの現場は、町名こそ違うものの隣り合った町にあり、約100メートルという距離は同じ生活圏の中と言っていい。近所の商店、通り道、ごみ出しの場所など、住民が日常的に行き来する範囲に2つの事件が収まっている。

2018年6月19日の青森県警の発表から、事件は「青森市における2件の女性殺人事件」として扱われてきた。町名で分けて呼ばれないのは、警察自身がこの一帯をひとつの事件現場として見ていることの表れでもある。

6月12日、菊地のり子さんが自宅で発見される

最初の事件が明らかになったのは、2018年6月12日午前11時30分ごろのことだった。旭町1丁目の菊地のり子さんの家を訪れた妹が、自宅内で倒れている菊地さんを見つけた。

当時の陸奥新報によると、菊地さんは玄関近くの廊下に仰向けで倒れていた。司法解剖などの結果、警察は首を絞められて殺害されたと判断している。

郵便受けには10日以降の新聞が残っていたと当時報じられ、警察は10日朝ごろまでに殺害された可能性も視野に入れていた。ただし現在の青森県警の資料では、犯行の可能性がある期間を6月9日から12日までと広くとっており、本記事では県警の資料に従っている。

その1週間後、約100メートル先で2人目

最初の発見からちょうど1週間後の6月19日、北金沢2丁目の店舗兼住宅で、商店を営んでいた小山和子さんが死亡しているのを知人男性が見つけた。菊地さんの家から直線で約100メートルの場所である。

当時の報道によれば、小山さんは鍵の掛かっていない勝手口を入ってすぐの場所に、靴を履いたまま仰向けに倒れていた。首にはスカーフのようなものが巻かれ、腹部から出血していた。司法解剖の結果、死因は胸や腹を刺されたことによる失血と、首を絞められたことによる窒息とみられている。

2つの事件の共通点と相違点

警察が2つの事件を結び付けて捜査している理由は、共通点の多さにある。一方で、手口には無視できない違いもある。

共通点相違点
場所・時期約100メートルの距離、発見は1週間差―
被害者一人暮らしの高齢女性小山さんは商店を営み、店舗兼住宅に住んでいた
手口首を絞められている小山さんには刺し傷があるが、菊地さんに同様の傷があったとは主要資料で確認できない
室内物色された形跡がない―
発見場所どちらも出入口の近く菊地さんは玄関近くの廊下、小山さんは勝手口付近で靴を履いたまま

2026年の青森テレビの報道では、警察は類似点の多さから連続殺人事件の可能性が高いとみていると伝えられている。ただし、同一犯と確定したという発表はない。刺し傷の有無という違いがある以上、断定できないのは当然でもある。

公表されている情報と、されていない情報

青森県警の公開資料で確認できるのは、発見日時と場所、被害者、犯行可能期間、そして求めている情報の内容までである。

犯人の似顔絵や年齢、身長、服装、使われた車といった犯人像は示されていない。菊地さん宅の侵入経路や、被害者が犯人を自ら家に入れたのかどうかも分からず、犯人と2人の間に面識があったかどうかも公表されていない。小山さん宅については鍵の掛かっていない勝手口から入った可能性が報じられているが、菊地さん宅について同様の情報は見当たらない。

県警が現在求めているのは、犯人を知っている、または心当たりがあるという情報、当時現場周辺で見た人物や車両の情報、事件後に姿を見かけなくなった人物の情報、その他事件や犯人に関係すると思われる情報である。

未詳録が記録した「一人暮らしの高齢女性」の事件と比べて

未詳録ではこれまで、一人暮らしの高齢女性が自宅で殺害された未解決事件をいくつも記録してきた。警察がどのような罪名で扱っているかを並べると、青森の事件の特徴が見えてくる。

事件発生年被害者警察の扱い
鹿児島市田上台強盗殺人事件2000年73歳女性強盗殺人(室内に物色の形跡)
三木市志染町広野女性強盗殺人事件2004年77歳女性強盗殺人
東かがわ市三本松女性殺人事件2005年71歳女性殺人
静岡市駿河区池田独居女性殺人事件2007年73歳女性殺人
青森市の2件の女性殺人事件2018年67歳・79歳女性殺人(2件とも物色の形跡なし)

一人暮らしの高齢者を狙う犯行では、金品目当ての強盗殺人が少なくない。それに対して青森の2件は、どちらの現場にも物色の形跡がなく、警察も強盗殺人としていない。お金が目的でなかったとすれば、犯人はなぜ、同じ生活圏に暮らす2人の女性を1週間のうちに襲ったのか。この点こそが、青森の事件を他の事件と分ける最大の謎といえる。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

捜査に投入された人員は年を追うごとに積み上がってきた。事件から2年の2020年時点で延べ約4万2000人、5年の2023年時点で延べ約9万1000人、8年の2026年時点では延べ約13万5100人に達している。捜査体制は2020年の46人態勢、2023年の県警刑事部長をトップとする37人態勢を経て、2026年現在は41人態勢である。

情報提供専用のフリーダイヤルには、2023年6月11日時点で34件、2026年6月17日までに35件の情報が寄せられたが、有力な手がかりには結び付いていない。

2025年には青森放送が、現場の住宅がすでに取り壊されたこと、それでも警察が周辺で聞き込みを続けていることを伝えている。事件から8年となった2026年6月17日には、青森警察署長や捜査員ら11人が現場近くのスーパー前でチラシを配り、断片的な情報でも寄せてほしいと呼びかけた。

説1:同一犯で、2人の生活を知る人物

2人がいずれも一人暮らしで、しかも同じ生活圏に住んでいたことから、犯人は被害者の暮らしぶりを事前に知っていたのではないかという見方である。小山さんは商店を営んでおり、地域の人や客との接点が多かった。物色の形跡がないことも、金銭ではなく人間関係に動機があった可能性を示すように見える。ただし、犯人と被害者の面識について警察は何も公表していない。

説2:同一犯で、土地勘のある無差別的な犯行

特定の人物への恨みではなく、一人暮らしの高齢女性という条件そのものを狙った犯行という見方である。約100メートルという距離は、犯人がこの一帯に土地勘を持っていたことをうかがわせる。一方で、無差別的な犯行であればなぜこの範囲で止まったのかという疑問が残る。

説3:別々の犯人による2つの事件

手口に刺し傷の有無という違いがあることから、2つの事件は別々の犯人によるもので、近い場所と時期で起きたのは偶然だったという見方も完全には否定できない。1件目の報道を知った人物による模倣という可能性も理屈の上では考えられる。ただ、100メートルと1週間という近さを偶然と考えるのは難しく、警察も連続殺人の可能性が高いとみている。

ネット上の情報について

インターネット上では、地域の特定の人物を犯人視するような書き込みが見られることもあるが、根拠が確認できるものはない。未詳録では、警察や報道で確認できない人物の特定は扱っていない。

未詳録の考察

この事件で最も重く感じるのは、2つの事件の間にあった1週間という時間である。1件目の事件が報じられ、地域に警戒が広がっていたはずの時期に、同じ生活圏で2件目が起きた。犯人はその警戒の中を動いていたことになる。

一方で、延べ13万人を超える捜査でも決定的な目撃情報が出ていないことは、犯人が住宅街の中で目立たない存在だった可能性を示しているのかもしれない。見慣れない人物ではなく、そこにいても不自然ではない人物だったとすれば、目撃されていても記憶に残らない。

もちろん、これは公開情報から考えられるひとつの可能性にすぎない。確かなのは、物色の形跡がないという事実が、この事件を単なる強盗とは違う種類の事件にしているということである。

事件がもたらした影響・結末

増え続ける「一人暮らしの高齢女性」

内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の女性のうち一人暮らしの人の割合は、1980年の11.2%から2020年には22.1%へと倍増した。2050年には29.3%、およそ3人に1人に達すると見込まれている。

青森の事件で狙われたのは、まさにこうした暮らしをしていた2人だった。一人暮らしの高齢者が増えるほど、異変に気づくのが遅れる危険も大きくなる。菊地さんが亡くなってから見つかるまでに数日がたっていた可能性があることも、その現実を物語っている。

地域でできる備え

勝手口や裏口も含めて日中から施錠する、訪問者はインターホン越しに確認してから応対する、近所や家族と定期的に連絡を取り合い、新聞や郵便物がたまっていないか気にかける。こうした日常的な見守りが、被害を防ぎ、万一のときにも早く気づくことにつながる。

事件は現在も未解決

現場の住宅はすでに取り壊され、街の様子も変わりつつある。それでも2026年現在、事件は解決しておらず、青森県警は犯人につながる情報を求め続けている。

情報提供先

青森県警は現在も「青森市における2件の女性殺人事件」として情報を求めている。

  • 事件情報専用フリーダイヤル:0120-001-328
  • 青森警察署:017-723-0110

関連記事

同じ青森県で起きた未解決事件

一人暮らしの高齢女性が狙われた事件

高齢者が首を絞められて殺害された事件

近い場所で複数の被害者が出た事件

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました