2004年9月30日。
兵庫県三木市志染町広野2丁目の住宅で、一人の女性が殺害されているのが発見された。
亡くなったのは、この家に住んでいた嘉戸光江さん(当時77歳)。
嘉戸さんは口を粘着テープでふさがれ、手足を縛られた状態で倒れていた。
住宅内部は何者かによって物色されていた。
警察は強盗殺人事件として捜査を開始したが、事件からまもなく22年となる2026年9月現在も犯人は逮捕されていない。
兵庫県警は現在も本事件を「三木市志染町広野における女性強盗殺人事件」として公式サイトに掲載し、犯人や当時の不審者について情報提供を求め続けている。
事件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日 | 2004年(平成16年)9月30日(木) |
| 発覚時刻 | 午後8時40分ごろ(報道) |
| 発生場所 | 兵庫県三木市志染町広野2丁目の被害者宅 |
| 被害者 | 報道では嘉戸光江さん |
| 年齢 | 当時77歳 |
| 発見場所 | 自宅1階居間(報道) |
| 死因 | 窒息死(報道) |
| 状況 | 手足を結束バンドで緊縛、ガムテープで口を塞がれる |
| 事件種別 | 強盗殺人事件 |
| 現在 | 未解決 |
| 捜査 | 三木警察署・兵庫県警捜査第一課 |
兵庫県警の事件専用ページは、事件概要を次の一文で説明している。
「何者かが室内を物色した上、女性が手足を結束バンドで緊縛され、ガムテープで口を塞がれ殺害されました」
なお、県警の公式ページには被害者の氏名も年齢も記載されていない。「嘉戸光江さん・当時77歳」という情報は、神戸新聞の報道によるものである。本記事でも、氏名・年齢は報道に基づく情報として扱う。
2004年9月30日午後8時40分ごろ
事件が発覚したのは2004年9月30日午後8時40分ごろ。
神戸新聞によれば、帰宅した息子が、自宅1階の居間で嘉戸さんが亡くなっているのを発見し、県警へ通報したことで事件が発覚した。
口は粘着テープでふさがれ、両手・両足は縛られていた。
目立った外傷はなく、死因は窒息死だった。
刃物や鈍器による明確な外傷が残る事件とは異なり、この事件では嘉戸さんを拘束し、口をふさいだことが死亡につながったとみられている。
住宅の1階と2階を物色
現場となった住宅では、何者かが室内を荒らしていた。
神戸新聞によると、1階と2階にあったタンスの引き出しなどが荒らされた状態だった。
兵庫県警も現在の公式ページで、
「何者かが室内を物色した上」
嘉戸さんを殺害したと説明している。
そのため警察は本事件を単なる殺人ではなく、強盗殺人事件として捜査している。
しかし、この事件には大きな未解明点が残っている。
何を奪われたのか分かっていない
強盗殺人事件でありながら、現在まで具体的な被害品が特定されていない。
2021年の神戸新聞報道でも、室内は荒らされていたものの「被害品は特定されていない」と伝えられている。
つまり、住宅が物色されていたことは確認されている。
しかし、
- 犯人が何を探していたのか
- 何かを実際に持ち去ったのか
- 現金や貴重品が目的だったのか
- それとも別の目的があったのか
公開されている情報だけでは、その答えは分からない。
警察が強盗殺人として捜査している以上、財物を奪う目的またはその過程で殺害が行われたとみていることになるが、具体的な被害品については現在も公表されていない。
裏の勝手口は施錠されていなかった
もう一つ重要なのが、住宅への侵入経路だ。
神戸新聞によると、嘉戸さん宅の裏側にある勝手口には鍵がかかっていなかった。
ただし、
- 犯人がこの勝手口から侵入したのか
- 玄関など別の場所から入ったのか
- 嘉戸さん自身が誰かを家に入れたのか
これらについて、現在の公開資料では確定していない。
したがって、
「勝手口が無施錠だった=そこから犯人が侵入した」
と断定することはできない。
犯人は嘉戸さんの生活を知っていたのか
事件が自宅内で発生し、住宅が物色されていたことから、犯人が嘉戸さんの生活状況を事前に把握していたのではないか、あるいは知人だったのではないか、という疑問も生じる。
しかし、兵庫県警は現在、犯人と嘉戸さんの関係について具体的な情報を公開していない。
犯人が面識のある人物だったのか。
まったく知らない人物だったのか。
嘉戸さんが一人になる時間を把握していたのか。
偶然住宅を狙ったのか。
いずれも確認できない。
結束バンドと粘着テープ
兵庫県警の現在の公式ページでは、嘉戸さんは、
「手足を結束バンドで緊縛され、ガムテープで口を塞がれ」
殺害されたと説明されている。
拘束に使われた物が具体的に公表されていることは、この事件の特徴の一つだ。なお、2021年の神戸新聞は拘束具を「ビニール製のひも」と表現しており、資料によって表現に幅がある。
一方で、
- 結束バンドを犯人が持参したのか
- 嘉戸さん宅にあった物なのか
- 粘着テープについても同様なのか
- 犯人が最初から嘉戸さんを拘束する予定だったのか
といった点は明らかになっていない。
道具の入手経路などについても、現在公開されている情報からは確認できない。
ただ、結束バンドが現場にたまたまある物とは限らないことを考えれば、犯人が拘束を想定して現場に向かった可能性も否定できない。もっとも、これも警察が公表した見解ではない。
何人による犯行だったのか
犯人の人数も分かっていない。
現在の兵庫県警ページでは、
「何者か」
という表現が使われているだけで、単独犯なのか複数犯なのかは明記されていない。
77歳の女性を拘束し、住宅の1階と2階を物色している。
こうした状況だけから人数を推測することはできるが、それを事実として扱う根拠はない。
現在確認できる公式情報では、犯人数は不明のままだ。
長期間にわたる捜査
兵庫県警と三木警察署は、事件後長期間にわたって捜査を続けている。
2024年に事件発生から20年を迎えた時点で、捜査本部が投入した捜査員は延べ約2万9000人に達していた。
しかし、犯人逮捕には至っていない。
事件から長い年月が経過したことにより、別の問題も深刻になっている。
情報提供が途絶える
事件直後には多くの情報が寄せられたと考えられるが、年月の経過とともに新たな情報は急速に減少した。
2021年の神戸新聞報道の時点で、情報提供は「近年は年に数件程度」まで減っていた。
そして2024年の同紙報道によれば、最後に情報が寄せられたのは2021年の2件で、その後は2年連続で0件が続いている。
事件の捜査が続いていても、情報そのものが入らなくなれば、捜査を進めることはさらに難しくなる。
それでも警察は情報募集を続ける
情報が途絶えても、警察は事件を終了していない。
三木警察署と兵庫県警捜査第一課は、事件の節目に神戸電鉄志染駅前などでビラを配り、当時の記憶を思い出してもらうための活動を続けてきた。
2021年9月の17年の節目には、三木署と県警捜査1課の計11人が志染駅周辺でビラ500枚を配布。このときのビラには、2004年のアテネ五輪やプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの誕生など、当時の出来事が盛り込まれた。
2024年9月30日にも、署員らが志染駅周辺で500枚のビラを配布している。
「平成16年の主な出来事」を並べたビラ
三木警察署は2025年9月にも、事件当時の出来事を記した情報提供ビラを公開している。
そこに「平成16年の主な出来事」として挙げられているのは、
- 10月:台風23号が上陸、但馬地方で甚大な被害が発生
- 11月:プロ野球・東北楽天イーグルスの新規参入
- 12月:ニンテンドーDS、PSP
- 12月:プロ野球・ダイエーがソフトバンクに球団譲渡
といった項目だ。
「22年前の9月に何をしていたか」を思い出してもらうための試みであり、特に台風23号のように地元・兵庫県に直接関わる出来事が並んでいる点が目を引く。
なお、このビラと、2021年に配布されたビラでは掲載されている出来事が異なっている。アテネ五輪は2021年のビラで紹介されたもので、2025年版のPDFには含まれていない。
2026年現在も公式サイトに掲載
2026年9月現在、兵庫県警の「事件捜査にご協力を!」のページには、本事件が現在も掲載されている。
同ページには殺人事件9件、死体遺棄事件2件、強盗事件1件が並び、本事件は殺人事件の7番目として
「三木市志染町広野における女性強盗殺人事件」
と記載されている。
三木警察署の公式ページでも、事件について、
「犯人はまだ捕まっておりません。どんな事でも結構です。情報提供をお願いします。」
として情報提供を求めている。同署のページでは、現場を「三木市志染町広野の一般民家」と説明している。
古い事件情報がアーカイブとして残っているだけではない。
現在も警察が犯人逮捕を目指して情報を集めている事件である。
現在確認できること
県警の公開資料で確認できること
- 事件名は「三木市志染町広野における女性強盗殺人事件」
- 発生日は平成16年(2004年)9月30日(木)
- 場所は三木市志染町広野2丁目の被害者宅(三木署ページでは「一般民家」)
- 何者かが室内を物色した
- 女性は手足を結束バンドで緊縛され、ガムテープで口を塞がれて殺害された
- 事件は「強盗殺人事件」として扱われている
- 情報提供先は三木警察署刑事課(0794-82-0110)、メールでの提供も可能
- 情報提供者には謝礼が支払われる制度がある(匿名希望の場合は対象外)
- 2026年現在も「事件捜査にご協力を!」のページに掲載されている
報道による情報(県警の公開資料では確認できないもの)
- 被害者の氏名は嘉戸光江さん、当時77歳
- 発覚は同日午後8時40分ごろ、帰宅した息子が発見して通報した
- 発見場所は自宅1階の居間
- 死因は窒息死で、目立った外傷はなかった
- 1階と2階のタンスの引き出しなどが荒らされていた
- 裏の勝手口は施錠されていなかった
- 具体的な被害品は特定されていない
- 2024年時点で延べ約2万9000人の捜査員が投入された
- 情報提供は2021年の2件を最後に2年連続で0件
現在の公開情報では分からないこと
- 犯人の氏名
- 犯人の人数
- 犯人の性別や年齢
- 嘉戸さんと犯人に面識があったのか
- 犯人がどこから住宅へ入ったのか
- 具体的に何が奪われたのか
- 犯行動機
- 嘉戸さん宅が狙われた理由
- 犯人が事件後どの方向へ逃げたのか
- 結束バンドや粘着テープを犯人が持ち込んだのか
物証や室内の状況はある程度分かっている。
しかし、犯人そのものにつながる公開情報はほとんどない。
「何を奪ったのか」さえ分からない強盗殺人
この事件には、一つの大きな空白がある。
警察は強盗殺人事件として捜査している。
住宅は物色されていた。
しかし、何が奪われたのかは特定されていない。
犯人が何を求めて嘉戸さん宅へ入ったのかが分からなければ、犯行動機や犯人と被害者との接点を探ることも難しくなる。
そして事件発生からまもなく22年。
年間数件あった情報提供も、やがて途絶えた。
それでも三木警察署は捜査を続けている。
2004年9月30日。
嘉戸光江さんの家に入った人物は誰だったのか。
なぜ嘉戸さんの手足を縛り、口をふさぐ必要があったのか。
そして犯人は、あの家で何を探していたのか。
その答えは、現在も明らかになっていない。
情報提供先
兵庫県警は、事件を直接目撃した情報だけではなく、事件当時に現場周辺で見た不審な人物などについても情報提供を求めている。
兵庫県三木警察署 刑事課
電話:0794-82-0110
兵庫県警の事件ページからメールで情報を提供することもできる。情報提供者の秘密は守られ、匿名での提供も可能とされている(ただし匿名の場合は謝礼の対象外となる)。
参考資料
- 兵庫県警察「三木市志染町広野における女性強盗殺人事件」: https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/teikyo/sosa/jiken727-200409301/index.htm 発生日(平成16年9月30日)、発生場所(三木市志染町広野2丁目の被害者宅)、事件概要「何者かが室内を物色した上、女性が手足を結束バンドで緊縛され、ガムテープで口を塞がれ殺害されました」、情報提供先(三木警察署刑事課0794-82-0110)、メールフォーム、謝礼制度を確認。被害者の氏名・年齢の記載はない。
- 兵庫県警察「事件捜査にご協力を!」: https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/teikyo/sosa/index.htm 2026年現在も本事件が殺人事件の一件として掲載されていることを確認(殺人9件・死体遺棄2件・強盗1件が掲載)。
- 兵庫県警察・三木警察署: https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/ps/26miki/index.htm 「犯人はまだ捕まっておりません。どんな事でも結構です。情報提供をお願いします。」の文言、発生日時「平成16年9月30日(木曜日)」、現場「三木市志染町広野の一般民家」を確認。
- 兵庫県警察・三木警察署 情報提供ビラ(2025年9月): https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/ps/26miki/data/news250926.pdf 「平成16年の主な出来事」として台風23号、東北楽天イーグルス新規参入、ニンテンドーDS・PSP、ダイエーのソフトバンクへの球団譲渡が挙げられていることを確認。
- 神戸新聞「口に粘着テープ、手足も縛られ77歳女性殺害 事件から20年」(2024年10月1日): https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/202410/0018182510.shtml 被害者名・年齢、午後8時40分ごろ息子が1階居間で発見、窒息死、タンスの引き出しが荒らされていたこと、裏の勝手口が無施錠だったこと、延べ約2万9000人の捜査員、2021年の2件を最後に2年連続0件、志染駅周辺でのビラ500枚配布を確認。
- 神戸新聞「志染町・強盗殺人事件、未解決のまま19年」(2023年9月30日): https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/202309/0016865960.shtml 帰宅した息子が発見して通報したこと、1・2階のタンスが荒らされていたこと、勝手口が無施錠だったこと、前年1年間の情報提供が0件だったことを確認(有料記事のため全文は確認できていない)。
- 神戸新聞「三木・女性強盗殺人事件から17年」(2021年9月30日): https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/202109/0014722162.shtml 被害品が特定されていないこと、両手足をビニール製のひもで縛られていたこと、死因が窒息死であること、三木署と県警捜査1課の計11人による志染駅周辺でのビラ500枚配布、当時のビラにアテネ五輪や楽天誕生が盛り込まれていたこと、情報提供が「近年は年に数件程度」であることを確認。
※本記事は兵庫県警察の公開資料を最優先とし、被害者の氏名・年齢、発見の経緯、死因、室内の状況、勝手口の施錠、捜査員数や情報提供件数などは報道による情報として明確に区別している。なお、発見時の被害者の体勢(うつぶせであったか等)については、今回参照した神戸新聞の各記事および県警資料のいずれにも記載を確認できなかったため、本記事では触れていない。


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