長野・権堂町居酒屋殺人事件|開店前の午前10時、わずか30分のあいだに何があったのか

2000年代

2007年11月9日、金曜日の午前中。長野市権堂町の居酒屋を訪ねた客が、店の入口で血を流して倒れている人を見つけました。被害者は包丁で左胸を刺されていて、運ばれた病院で亡くなりました。

長野県警によると、被害者が刺されたのは午前10時ごろから10時30分ごろまでの、わずか30分のあいだです。夜の街として知られる権堂の、人通りの少ない朝の時間に起きた事件でした。それから19年。犯人の人相も服装も「不明」のまま、事件は解決していません。

事件の概要

項目内容
発生2007年(平成19年)11月9日(金)午前10時ごろ(推定)。午前10時ごろから10時30分ごろまでの間に殺害
場所長野市大字鶴賀権堂町の居酒屋の店内
状況包丁で左胸を刺され、運ばれた病院で死亡
発見午前中に店を訪ねた客が、店の入口で倒れている被害者を見つけた
犯人の人相・服装不明
担当長野中央警察署、長野県警察本部 刑事部組織犯罪対策第二課
現在未解決(時効なし)

夜の街の、朝の時間に

権堂町は、長野駅と善光寺のあいだにある、長野市でいちばんの繁華街です。アーケードの商店街のまわりに飲み屋やスナックが集まり、夜になるとにぎわいます。けれど、事件が起きたのは午前10時。居酒屋が店を開ける時間ではなく、通りも静かだったはずです。

その朝、被害者は店の中にいました。以前の県警のページでは、現場は「店舗兼住宅」と書かれていて、店と住まいが一緒になった建物だったことがうかがえます。被害者は店の中で包丁で左胸を刺され、店の入口で倒れていました。見つけたのは、午前中に店を訪ねてきた客です。被害者の名前や年齢、店との関係は公表されていません。

30分という、異例の絞り込み

この事件で目を引くのは、犯行の時間が「午前10時ごろから10時30分ごろの間」と、30分の幅まで絞り込まれていることです。未解決事件では、犯行の時間が数時間や数日の幅で示されることも珍しくありません。それに比べると、驚くほど狭い幅です。

なぜここまで絞り込めたのかは説明されていません。午前10時ごろまでは誰かが被害者の無事を確かめていて、10時30分ごろには客が倒れている被害者を見つけた。そう考えるのが自然でしょう。わずか30分のあいだに、誰かが店を訪れ、被害者を刺し、立ち去ったことになるのです。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

事件を担当しているのは長野中央警察署です。長野県警の「事件捜査にご協力を」のページには6件の事件が並び、この事件はその一番上に載っています。事件のページは2026年3月にも更新されました。県警は、事件に心当たりのある人、現場の近くで不審な人を見たり話を聞いたりした人、そして不審な車を見た人に、どんなささいなことでも知らせてほしいと呼びかけています。匿名でも受け付けています。

もう一つ気になるのは、問い合わせ先に、県警本部の刑事部組織犯罪対策第二課が載っていることです。なぜこの課が窓口になっているのか、県警は説明していません。一方で、犯人の人相・服装の欄には「不明」とだけ書かれ、似顔絵も防犯カメラの画像もありません。

残された謎

朝の静かな時間に、犯人はどうやって店に入ったのか。凶器の包丁は店にあったものなのか、犯人が持ち込んだものなのか。被害者と犯人のあいだに接点はあったのか。そして、県警がわざわざ「不審な車」の情報を求めているのは、車で来て車で去った人物を想定しているからなのか。どれも、公表されている資料からは分かりません。

説1:顔見知りが店を訪ねてきた

店が開いていない朝の時間に入れたのは、被害者が招き入れる相手だったからではないか、という見方です。言い争いの末に、店にあった包丁を手に取った可能性も考えられます。ただ、包丁が店のものだったのかどうかは、明らかにされていないのです。

説2:金品目当ての侵入者

人の少ない朝の時間を狙って店に入った人物が、被害者と鉢合わせして刺したという見方です。ただ、県警はこの事件を「強盗殺人」ではなく「殺人事件」としていて、物が奪われたことは公表されていません。

説3:車で現れ、車で去った人物

県警が不審な車の目撃を求めていることから、犯人は車で店の近くまで来て、短い時間で立ち去ったのではないか、という見方です。30分という短さとも合います。ただ、犯人が車を使ったと県警が発表しているわけではありません。

未詳録の考察

この事件でいちばん気になるのは、「朝10時の居酒屋」という組み合わせです。夜に開く店に、開店前の朝、誰かが訪ねてくる。しかも、事件のすぐあとには、客が店を訪ねてきて被害者を見つけています。この店には、朝から人が出入りすることがあったのでしょう。犯人も、その時間に被害者が店にいることを知っていた人物だったのではないかと私は考えます。

そして、30分という幅の狭さは、警察が当時かなり具体的な手がかりを得ていたことを示しているように思えます。それでも人相は「不明」。犯人は誰にも顔を見られず、30分のあいだに出入りしたことになります。夜はにぎやかな権堂の街も、朝はそれほど人目がなかったのかもしれません。

だからこそ、あの朝、権堂の通りで車を止めていた人、店の近くを歩いていた人を覚えている誰かの記憶が、今も大切な意味を持つのではないでしょうか。

事件がもたらした影響・結末

時効は廃止され、今も罪に問える

事件が起きた2007年当時、殺人罪の時効は25年でした(2005年1月1日以降の事件に適用)。そのままなら2032年までだった時効も、2010年4月27日に殺人などの時効を廃止する法律が施行され、施行の時点でまだ時効を迎えていない事件にも当てはまったため、なくなりました。犯人が見つかれば、今でも罪に問うことができます。

繁華街の「朝」の死角

繁華街は夜の防犯に目が向きがちですが、店が閉まっている朝や昼の時間は、かえって人目が少なくなります。この事件は、にぎやかな街ほど、時間帯によっては大きな死角が生まれることを教えています。今では街なかの防犯カメラも増えましたが、2007年当時は、まだ今ほど多くはなかったはずです。

19年たっても続く呼びかけ

長野県警は今もページを更新し、情報を待っています。2007年11月9日の朝、権堂町のあたりで見かけた人や車、耳にした話があれば、どんなに小さなことでも構いません。

情報提供先

長野中央警察署
電話:026-244-0110(代表)

長野県警察本部 刑事部組織犯罪対策第二課
電話:026-233-0110(代表)

長野県警のページからメールでも送れます。匿名でも受け付けていて、警察からの連絡を望まない場合はその旨を書けば連絡はありません。情報を寄せた人の秘密は守られます。

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参考資料

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