土浦市中女性殺人事件 ― 事件名は「土浦」、遺体はつくばの山林で見つかった

2020年代

茨城県警がこの事件に付けている名前は、「土浦市中地内における女性被害殺人事件」である。

ところが県警のページを読むと、遺体が見つかった場所は土浦市ではない。2026年1月27日の午前10時50分ごろ、女性の遺体が発見されたのはつくば市上菅間の山林だった。

未解決事件の名前は、たいてい遺体が見つかった場所か、犯行があった場所で付けられる。この事件で県警が選んだのは、そのどちらでもなく、亡くなった女性が暮らしていた町の名前である。殺害された場所がどこなのか、県警はいまも公表していない。

女性は前年の12月から行方が分からなくなっていた。行方不明者の捜索として始まった事案が、約5週間後、殺人事件に変わった。発見から8か月、事件はまだ解決していない。

事件概要

項目内容
事件名土浦市中地内における女性被害殺人事件
遺体発見2026年(令和8年)1月27日(火)午前10時50分ごろ
発見場所茨城県つくば市上菅間地内の山林内
被害者土浦市中に住んでいた女性(県警は氏名等を公表せず)
行方不明2025年12月(報道による)
死因不詳、窒息死の疑い(報道による)
現在殺人事件として捜査中
報奨金茨城県警察情報提供報奨金制度の対象
情報提供先土浦警察署(029-821-0110)/県警本部捜査第一課(029-301-0110)

茨城県警の事件ページには、被害者の氏名、年齢、職業、居住地はいずれも記載されていない。書かれているのは「女性の遺体が発見された」という事実と、発見の日時と場所、そして情報提供の呼びかけである。

行方不明事件として始まった

この事件は最初から殺人事件だったわけではない。

茨城新聞は発見後の続報で、この女性が「昨年12月に行方不明」になっていたと伝えている。家族からの届け出を受けて、警察は行方不明者として捜していた。遺体はその捜索の過程で見つかったとされる。

行方不明から遺体の発見まで、およそ5週間。その間のどこかで女性は亡くなり、つくば市の山林に置かれていた。

本シリーズで扱った五霞町の事件でも、夏祭りの夜に姿を消した15歳の女子高校生が、3日後に約30キロ離れた用水路で見つかっている。最後に姿を見せた場所と、遺体が見つかった場所が離れている。その間を埋める足取りが、どちらの事件でもいちばん大きな空白になっている。

報道で伝えられている経緯

発見直後の報道では、行方不明に至る経緯と発見時の状況について、次のような内容が伝えられている。いずれも茨城県警の事件ページには記載がなく、本記事の作成時点で原文を直接確認できたものではないため、報道が伝えた内容として示しておく。

女性は土浦市中に住む54歳の自営業者とされる。最後に姿が確認されたのは2025年12月20日の午後7時20分ごろで、茨城県内の小売店で買い物をしていたという。2日後の12月22日、別居中の夫が「連絡が取れない」と110番通報し、警察官とともに自宅を確認したが女性はいなかった。12月25日に夫が土浦警察署へ行方不明届を出している。

自宅は施錠され、物色された形跡はなく、携帯電話は自宅に残されていたとされる。

遺体が見つかったのは県道から5メートルほど山林に入った場所で、女性の自宅からは約25キロ離れていた。ジャンパーや下着、靴下は身に着けていたが、靴は履いておらず、ズボンは遺体の近くにあったと報じられている。

司法解剖では死因は特定されなかったが、窒息死の可能性を示す所見があり、首に皮膚が損傷した痕、右側の肋骨の骨折が確認されたとされる。死後数週間が経過していたとみられている。

これらの細部が正確であれば、12月20日の夜から1月27日の朝までの約5週間のうち、どの時点で女性が亡くなったのか、どこにいたのか、どのように山林へ移ったのかは、ほぼすべて空白ということになる。

死因は不詳、それでも殺人事件

茨城新聞の見出しは、この事件の性格を端的に表している。「死因不詳も窒息死の疑い 殺人事件として捜査」。

司法解剖で死因を特定できなかったにもかかわらず、県警は殺人事件と判断した。報道が伝える首の損傷や肋骨の骨折、そして自宅から離れた山林で、靴を履かない状態で見つかったという状況が、その判断に関わっているとみられる。ただし、県警自身がその根拠を説明しているわけではない。

本記事でも「絞殺された」とは書かない。確認できるのは、県警が殺人事件として捜査しているという事実までである。

県警が求める「不審な物」

茨城県警が事件ページで求めている情報は三つある。

  • 犯人を知っている
  • つくば市上菅間付近で不審な人物・車を見た
  • つくば市上菅間付近で不審な物を見た

三つ目の「不審な物」は、未解決事件の呼びかけとしてはあまり見ない項目だ。人物や車の目撃を求めるのは一般的だが、この事件で県警は、上菅間の周辺に落ちていたり置かれていたりする物についても情報を求めている。

報道が伝えるように、女性が靴を履いていない状態で見つかったのだとすれば、その靴を含め、事件に関わる物がまだどこかにある可能性を県警は考えているのかもしれない。もっとも、県警は何を探しているのかを具体的には示していない。

更新の止まったページ、8月に更新された一覧

事件ページの更新日は2026年1月31日。遺体発見の4日後から、内容は変わっていない。

一方、茨城県警の「懸賞広告事件」のページは2026年8月6日に更新されており、茨城県警察情報提供報奨金制度の対象事件として、この事件が現在も掲載されている。広告期間は2026年4月1日から2027年3月31日まで。対象事件の被疑者検挙や解決に最も寄与した情報に報奨金が支払われる仕組みで、匿名など提供者を特定できない場合は支払いの対象外となる。

この一覧には12件の事件が並ぶ。2000年の牛久市の少年被害強盗致死事件、2003年の五霞町の女子高校生被害殺人・死体遺棄事件といった20年以上前の事件から、2026年6月の土浦市田村町や坂東市の強盗致傷事件、7月のかすみがうら市のコンビニ強盗未遂事件まで。そのなかで2026年に発生した殺人事件は、この一件だけである。

なお一覧では、この事件は「令和8年1月27日発生」と表記されている。遺体が発見された日であって、女性が亡くなった日ではない。いつ殺害されたのかが分からないため、事件の日付は発見の日で記録されている。

まだ9か月しかたっていない

本シリーズで扱ってきた事件の多くは、発生から20年、30年が過ぎている。目撃者の記憶は薄れ、関係者は転居し、手がかりは年を追うごとに減っていく。

この事件は違う。女性が最後に目撃されたのは2025年12月20日。まだ1年もたっていない。

12月20日の夜、茨城県内の小売店にいた女性を見かけた人。年末から1月にかけて、つくば市上菅間の県道沿いに停まっていた車や、山林に出入りする人を見た人。普段は落ちていないものが落ちていたのを覚えている人。そうした記憶は、いまならまだ残っている可能性が高い。

公表されていないこと

茨城県警は、被害者の氏名や年齢を含め、事件の内容をほとんど公表していない。

殺害された場所、正確な死亡日時、死因も明らかにされていない。女性が最後の買い物のあとどこへ向かったのか、誰と会ったのか、どのようにしてつくば市上菅間の山林に至ったのかも不明である。

犯人については、性別、年齢、人数、体格、服装、車両の有無のいずれも公表されていない。「不審な車」の情報が求められているが、県警は犯人が車を使ったとは述べていない。

動機も分かっていない。事件名が被害者の居住地で付けられていることから、県警が女性の生活圏を捜査の軸に置いている可能性はあるが、それ以上のことは公開資料から読み取れない。

情報提供先

茨城県 土浦警察署 電話:029-821-0110

茨城県警察本部 捜査第一課 電話:029-301-0110

メール:keikeisou@pref.ibaraki.lg.jp

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参考資料

  1. 茨城県警察「土浦市中地内における女性被害殺人事件の発生」: https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a04_jiken/atrocious_crime/reiwa08/0127.html 遺体発見「令和8年1月27日(火曜日)午前10時50分頃」、発見場所「つくば市上菅間地内の山林内」、求める情報(犯人を知っている/つくば市上菅間付近で不審な人物・車を見た/つくば市上菅間付近で不審な物を見た)、茨城県警察情報提供報奨金制度の対象であること、情報提供先(土浦警察署029-821-0110、警察本部捜査第一課029-301-0110、メールkeikeisou@pref.ibaraki.lg.jp)を確認。被害者の氏名・年齢・職業・居住地の記載はない。更新日2026年1月31日。
  2. 茨城県警察「懸賞広告事件」: https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a04_jiken/bounty/index.html 茨城県警察情報提供報奨金制度の対象事件12件の一つとして「土浦市中地内における女性被害殺人事件(令和8年1月27日発生)」が掲載されていること、広告期間が令和8年4月1日から令和9年3月31日までであることを確認。更新日2026年8月6日。
  3. 茨城新聞「つくばの山林に遺体 行方不明の女性 茨城」/「【更新】つくばの山林女性遺体 死因不詳も窒息死の疑い 殺人事件として捜査 昨年12月に行方不明 茨城県警」(2026年1月) 行方不明の女性であったこと、死因不詳ながら窒息死の疑いがあり殺人事件として捜査されていることを見出しで確認。※アクセス制限により本文は確認できていない。
  4. 共同通信「茨城の山林に女性遺体 殺人事件で捜査、県警」(2026年1月) 現場の状況などから事件に巻き込まれたとみて捜査していることを確認。※本文の全文は確認できていない。
  5. テレビ朝日「茨城・つくば市の山林で女性遺体 殺人事件の可能性も」(2026年1月31日)/TBS NEWS DIG(2026年1月30日) 首の所見、肋骨の骨折、死後の経過期間など司法解剖の結果についての報道。※本記事作成時点で本文を確認できていない。

※本記事は茨城県警察の公開資料を最優先とし、行方不明の経緯、発見時の状況、司法解剖の結果などは報道による情報として区別している。被害者の氏名と国籍については、一部報道で伝えられているとされるが、県警は公表しておらず、本記事の作成時点でアクセス可能な資料から確認できなかったため記載していない。報奨金の上限額についても、取扱要領の本文を確認できなかったため記載を控えた。

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