なぜ犯人は火を付けたのか|殺人と放火が重なった10の未解決事件

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人が殺害され、その現場にさらに火が放たれる。未解決事件を調べていると、そうした事件に何度も出会います。証拠を消すためだったのか、事件を火事に見せるためだったのか、それとも火を付けること自体に別の目的があったのか。犯人が捕まっていない以上、その理由が分からない事件がほとんどです。

このページでは、未詳録に記録している事件のうち、殺人と放火が重なった10件をまとめました。事件ごとに状況は異なり、「殺害後に証拠を消すために火を付けた」と確認されている事件はありません。

10の事件を2つに分ける

10件を並べると、火が果たした役割によって大きく2つに分かれます。

分類事件
殺害の後に火が付けられたとみられる事件倉敷市児島、柴又三丁目、三鷹市大沢、さいたま市栄和、太平八田、豊明市、富山市大泉、湯河原町
火そのものが命を奪った事件大洲市長浜町、六木四丁目

前者では、被害者は火が付けられる前にすでに襲われていました。後者では、火が付けられた時点で被害者は生きていたとみられています。大洲市長浜町の鎌田美千子さんは、煙が上がってくる中で110番通報を続けていたと報じられています。

また、灯油が使われたと報じられている事件が3件あります。大洲市長浜町では住宅の1階に、豊明市では現場に灯油がまかれていたとされ、富山市大泉の事件でも、逮捕された警部補の容疑は灯油をまいて放火したというものでした。

1995年|倉敷市児島夫婦殺人放火事件

岡山県倉敷市/70歳男性・66歳女性

1995年4月28日の未明、農業を営む角南春彦さんと翠さんの住宅が全焼しました。焼け跡から見つかった2人には、刃物によるものとみられる傷がありました。延べ約19万8600人の捜査員が投入されましたが、31年たった今も犯人は分かっていません。

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1996年|柴又三丁目女子大生殺人放火事件

東京都葛飾区/21歳女性

上智大学4年生だった小林順子さんが自宅で殺害され、その後、住宅に火が付けられました。犯人のものとみられるDNA型が残され、現場の近くで目撃された不審な男の特徴も公開されています。それでも事件は30年間、解決していません。

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1998年|三鷹市大沢五丁目アパート殺人放火事件

東京都三鷹市/31歳女性

アパートの一室で女性が殺害され、室内に火が付けられました。後年の再鑑定で、被害者の爪から犯人のものとみられるDNAが見つかったことが分かっています。物証が残されていながら、今も犯人は明らかになっていません。

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2001年|さいたま市栄和5丁目父娘殺人放火事件

埼玉県さいたま市/64歳男性・14歳女性

雨の夜、店舗兼住宅に住む父と14歳の長女が刃物で刺されて殺害され、建物に火が付けられました。事件の直後には、白っぽい野球帽をかぶったがっちりした体格の若い男が、現場から立ち去るのを目撃されています。埼玉県警は今もこの男につながる情報を求めています。

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2002年|太平八田殺人放火事件

秋田県秋田市/69歳女性

クリスマスイブの未明、一人暮らしの伊藤ミヱさんの住宅が全焼しました。伊藤さんは火事で亡くなったのではなく、首を絞められて殺害されていました。家の中には現金や預金通帳が残されており、犯人の目的は分かっていません。

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2004年|大洲市長浜町女性放火殺人事件

愛媛県大洲市/52歳女性

深夜、一人暮らしの鎌田美千子さんの住宅に何者かが侵入し、灯油をまいて火を付けました。報道によれば、鎌田さんは2階の寝室から「下の階に誰かがいる」と110番通報していましたが、通話は煙が上がってきたところで途切れたといいます。出火の後、近くの公園の方向へ走り去る男が目撃されたとも報じられています。

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2004年|豊明市母子4人殺人放火事件

愛知県豊明市/38歳女性と15歳・13歳・9歳の子ども

2004年9月9日の未明、住宅が全焼し、焼け跡から加藤利代さんと3人の子どもが見つかりました。4人は火事で逃げ遅れたのではなく、何者かに襲われた後に家に火を付けられたとみられています。事件の日は、次男の9歳の誕生日でした。

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2004年|六木四丁目アパート放火殺人事件

東京都足立区/46歳男性

深夜1時ごろ、アパートのそばに停められていたバイクから出た火が建物に燃え移り、住人の男性が亡くなりました。当時、周辺では掲示板のポスターが燃やされるなどの不審火が相次いでおり、警視庁は今もそのことを事件のページに記しています。不審火との関連は分かっていません。

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2010年|富山市大泉夫婦殺人・放火事件

富山県富山市/79歳男性・75歳女性

ビルの2階で暮らしていた福田三郎さんと信子さんが首を絞められて殺害され、居室に火が付けられました。その後、「犯人」を名乗る人物から出版社に、犯行声明文と現場の図面を記録したCD-Rが送られています。2012年には当時現職の富山県警の警部補が逮捕されましたが、嫌疑不十分で不起訴となり、事件は今も未解決です。

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2015年|湯河原町女性殺人放火事件

神奈川県湯河原町/66歳女性

一人暮らしの平井美江さんが自宅の寝室で殺害され、約1時間後に住宅から火が出ました。その朝、現場の方向からJR湯河原駅へ向かう黒っぽい服装の人物が防犯カメラに記録されており、神奈川県警は今もその映像を公開して情報を求めています。

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火を付けても、すべてが消えるわけではない

10件は、一軒家もあればアパートもあり、一家が襲われた事件もあれば一人暮らしの家で起きた事件もあります。殺害の後に火が付けられたとみられる事件もあれば、火そのものが命を奪った事件もあります。一つの犯人像や動機でまとめることはできません。

それでも、殺人放火の事件を見るたびに私が気になるのは、犯人が火を付ければ何を消せると考えたのかということです。指紋や血の跡、侵入した経路、部屋の中に残された物。あるいは、事件そのものを火事に見せたかったのかもしれません。ただし、これらは考えられる可能性にすぎず、なぜ火が付けられたのか分かっていない事件がほとんどです。

一方で、柴又や三鷹では犯人のものとみられるDNAが残り、さいたま市栄和では現場を去る男が目撃され、湯河原では人物が防犯カメラに残りました。火を付けても、すべてが消えるわけではありません。それでも、残された断片だけでは犯人の名前まで届いていない。10件を並べて最も印象に残ったのは、そのことでした。

詳しい捜査の状況や、警察が今求めている情報は、それぞれの記事にまとめています。

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