岩沼市梶橋女性殺人事件|玄関で途切れた血の靴跡、65歳女性を襲った犯人は誰なのか

夜の住宅街の路地と玄関(岩沼市梶橋女性殺人事件のイメージ) 2010年代

2012年3月30日の午前、宮城県岩沼市梶橋の一軒の家を訪ねた集金の人が、玄関の外に血が付いているのに気づきました。玄関の内側では、この家で一人暮らしをしていた長田クニ子さん(当時65歳)が、靴箱にもたれかかるように座り込み、すでに亡くなっていました。首には、刃物による深い傷がありました。

玄関の外のマットには、血の付いた靴の跡が外へ向かって残されていました。けれど、その足跡は途中でふっと途切れていたといいます。長田さんの命を奪った人物は、そこからどこへ消えたのか。事件から14年がたった今も、犯人は分かっていないのです。

事件の概要

項目内容
事件名岩沼市梶橋女性殺人事件(宮城県警の呼び名は「岩沼市梶橋地内における女性被害殺人事件」)
発生期間2012年(平成24年)3月28日から30日までの間
発見2012年3月30日午前、自宅を訪れた集金の人が気づいた
場所宮城県岩沼市梶橋の被害者宅
被害者長田クニ子さん(当時65歳、一人暮らし)
状況自宅の玄関で、首を刃物で切られて亡くなっていた
現場の痕跡玄関の外のマットに、外へ向かう血の付いた靴の跡
捜査岩沼警察署の捜査本部
現在犯人は分かっておらず、宮城県警が情報提供を求めている

3月28日の夕方を最後に

宮城県警が示している事件の発生期間は、2012年3月28日から30日までの3日間です。東北放送の報道をまとめた記録によると、長田さんが最後に確認されたのは3月28日の午後5時30分ごろ。軽自動車を一人で運転して、自宅へ帰っていく姿でした。

東日本大震災の津波で沿岸部が大きな被害を受けた岩沼市が、震災から1年を迎えたばかりの時期のことです。そして2日後の30日、午前11時25分ごろ、集金に訪れた人が玄関の外の血に気づき、警察に通報しました。この3日間のどこかで、長田さんの身に何かが起きたことになります。

玄関の内側で

長田さんは、玄関の内側で靴箱にもたれかかるように座り込んでいました。首には前や右側に幅5センチを超える傷がいくつもあり、そのうちの一つは動脈にまで達していて、死因は失血死とされています。両手の甲にも傷があり、必死に抵抗したとみられています。

同じ記録によると、玄関には鍵がかかっていて、家の中の明かりは消えていました。ほかの場所に争った跡はなく、現場は玄関だったとみられます。長田さんはTシャツにカーディガン、ジーンズという姿で、右足にだけ靴を履いていました。バッグは居間に残され、物が取られた様子もなかったといいます。台所には包丁が残されていたことから、凶器は犯人が持ち込んだ鋭い刃物だった可能性があります。

外へ続き、途切れた血の靴跡

この事件でとりわけ目を引くのが、玄関の外のマットに残されていた血の付いた靴の跡です。2023年の記録ではスニーカーの跡とされ、外へ向かって小さな歩幅で続き、途中で突然途切れていたといいます。そこで車に乗ったのではないか、という見方もあります。

ただ、靴の跡は、同じ型の靴を履く多くの人を指し示すものでもあります。足跡がどこまで分析され、何が分かっているのかは、公表されていません。犯人の足取りを示すはずの痕跡が、玄関の先で途切れてしまっている。そのことが、この事件の行き詰まりをそのまま表しているように思えるのです。

捜査と謎・数々の説

警察の動向

宮城県警は岩沼警察署に捜査本部を置き、2023年の時点では68人の態勢で捜査を続けていました。毎年3月の事件の節目には、JR岩沼駅などで警察官がチラシを配り、情報提供を呼びかけています。宮城県警の「未解決事件に関する情報提供のお願い」には、仙台市泉区七北田の男性殺人・死体遺棄事件、志津川町の夫婦殺人事件と並んで、この事件が今も載っています。

残された謎

大きな謎の一つが、玄関の鍵です。長田さんが玄関で殺害されたのだとすれば、その後に鍵をかけたのは誰だったのか。家の明かりが消えていたこと、右足にだけ靴を履いていたことも、事件がいつ、どんな場面で起きたのかを考える手がかりになりそうですが、決め手にはなっていません。何も取られた様子がないことから、犯人の目的も見えてこないのです。

説1:帰宅した直後を襲われた

長田さんが最後に目撃されたのは、28日の夕方に車で帰宅する姿でした。明かりが消え、片方の足にだけ靴を履いていたことから、帰宅して靴を脱ごうとしていた、あるいは暗くなる前後の時間帯に玄関で襲われたのではないかと考える見方があります。ただし、実際の犯行時刻は公表されておらず、これも推測の域を出ません。

説2:玄関で応対した相手による犯行

現場が玄関に限られ、家の中が荒らされていなかったことから、訪ねてきた人物に応対した際に襲われたのではないかという見方もあります。顔見知りだったのか、見知らぬ訪問者だったのかは分かりません。現場が自宅だったというだけで、長田さんの知り合いや近所の人を疑うことはできないのです。

未詳録の考察

この事件で胸が痛むのは、長田さんが見つかるまでに最大で2日近くかかったかもしれない、ということです。一人で暮らしていた長田さんの異変に気づいたのは、家族でも近所の人でもなく、集金に訪れた人でした。もし事件が28日の夜に起きていたのなら、長田さんは誰にも気づかれないまま、玄関で長い時間を過ごしていたことになります。

そして、外へ向かって途切れた血の靴跡です。犯人は長田さんの命を奪ったあと、近くに止めた車で立ち去ったのかもしれません。そうだとすれば、あの日、梶橋のあたりに見慣れない車が止まっていた、急いで立ち去る人を見たといった記憶が、誰かの中に残っているのではないでしょうか。

14年という時間は、人の記憶を薄れさせます。けれど、当時は大したことではないと思っていた一場面が、今になって意味を持つこともあると考えます。玄関の先で途切れた足跡の続きは、まだ誰かの記憶の中にあるのかもしれないのです。

事件がもたらした影響・結末

一人暮らしの家で起きる事件の難しさ

一人暮らしの人が自宅で被害に遭う事件では、発見が遅れやすく、いつ事件が起きたのかを絞り込むことが難しくなります。この事件でも、発生期間は3日間という幅を持ったままです。日ごろから声をかけ合い、いつもと違う様子に早く気づける関係を地域の中につくっておくこと。それは、事件を防ぐだけでなく、もしものときに真相へ近づくためにも大切なことなのではないでしょうか。

時効のない事件として

この事件が起きた2012年には、すでに2010年の法改正で殺人罪の公訴時効は廃止されていました。どれだけ時間がたっても、犯人が見つかれば罪に問うことができます。14年がたった今も、警察が毎年街頭に立ち続けているのは、その日が来ることを信じているからなのです。

情報提供先

2012年3月28日から30日にかけて、岩沼市梶橋のあたりで不審な人や車を見かけた方、長田さんや事件について何か知っている方は、どんなに小さなことでも連絡してください。宮城県警の「未解決事件に関する情報提供のお願い」にも、事件のチラシが掲載されています。

窓口電話
岩沼警察署 捜査本部0223-22-4341
宮城県警察本部022-221-7171(代表)

関連記事

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました